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2001/05/18

<在日社会>韓日交流 教科書問題で温度差

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    教科書問題の影響が心配されたが、韓日交流は継続している自治体が多い(写真は佐賀県の国際交流フェスティバル・ガタリンピック)

 韓国政府が歴史わい曲と強く批判している「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書が、日本の教科書検定を通過したことに端を発し、各地で行われている韓日交流への影響が懸念されている。交流には影響のない自治体や学校が多いものの、スポーツ大会の中止など交流中断を余儀なくされたところも出ている。

 教科書問題による韓日交流への影響が少なかったことで、胸をなでおろしている自治体は多い。韓国・京畿道の議会議員団30人は11日、友好関係を結んでいる神奈川県を表敬訪問、岡崎洋・神奈川県知事に「教科書問題はあるが、交流を通して信頼と友好を深めたい」とあいさつ、県関係者を安心させた。翌12日には神奈川県議会サッカー部と横浜国際競技場で交流試合に臨んだ。

 ソウル市と提携を結んでいる東京都も、「不安はあったが、交流への影響はないようだ。秋には東京、ソウルにシンガポールなども交えて大都市サミットを行う予定」と説明する。

 済州島との交流を行っている静岡県は、13日にワールドカップ(W杯)韓日共催を記念した韓国伝統芸能イベントを開催。済州島で19日に開幕する「島フェスティバル」には県内の民謡歌手ら30人を派遣するなど活発だ。交流を担当する県の生活・文化国際室では、「韓国側から特に(交流中断の)意見は出ていない。これまでの積み重ねで信頼関係が出来ている」話す。

 朝鮮通信使ゆかりの地である長崎県対馬の厳島町は、今年も積極的な交流計画を進めている。8月1日の「釜山海祭り」で行われる朝鮮通信使のパレードに、対馬藩の武士役として20人が参加、8月4、5の両日に厳島で行われるアリラン祭には、釜山から朝鮮通信使パレードとして大挙参加してもらう予定だ。

 同町町役場では、「教科書問題の影響はない。計画通りに交流を続け、親睦を深めたい」と話す。福岡県では、韓国の子どもたちが県内の小中学校を訪問する交流事業が行われている最中だが、順調に運営されている。

 日韓文化交流基金によると、「当基金が助成している交流事業では、変更の報告は来ていない。何事もなく交流事業が続いてほしい」と語る。

 一方、影響の出ている自治体もある。新潟県新発田市は韓国・議政府市と81年から交流を始め、89年には友好都市協定を結び、スポーツ・文化交流だけでなく、ホームステイや職員の相互派遣など20年間交流を続けてきた。それが今回の教科書問題で、議政府市議会が交流を見合わせるべきとの決議文を議政府市と新発田市に提出、交流見直しの動きが出ている。

 新発田市は8月2日から4日間の日程で、市内の小中学生約90人が韓国を訪問、サッカーや柔道などの交流スポーツ大会を予定していたが、今月下旬までに正式な招待状が届かない場合、大会が中止される可能性もある。

 島根県は7月にハンドボール高校男子選抜チームが韓国を訪問、慶尚北道の高校選抜チームと親善試合を予定していたが、教科書問題による反日感情の高まりを理由に延期された。

 韓国地方自治体国際化財団では、「交流継続を希望する自治体や学校は多いが、日本の小中学生や高校生を受け入れる事業の場合、反日感情による不測の事故を心配して自粛する例もあるようだ。自治体によっては公務員の訪日を中断する動きもある。教科書問題の影響が今後どうなるか、長期的に見る必要がある」と話す。