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2001/03/09

<在日社会>「つくる会教科書」在日社会でも怒りの声

 「新しい歴史教科書をつくる会」(会長・西尾幹二電気通信大学教授)が、現行の教科書が”自虐的”であるとして作成し、現在検定中の中学校歴史教科書(申請本)をめぐり、韓国、中国から強い批判が起きている。また在日社会でも、怒りの声が起きている。教科書は早ければ15日にも検定を通過する見込みだが、批判にどう向き合うのか日本政府の対応が注目される。

 韓国と日本で教科書問題が最初に起きたのは、1982年のことだ。1919年に非暴力で行われた3・1独立運動を「暴動」と表現した記述に、韓国政府や市民が猛反発した。

 独立運動の遺族からは、「私たちの祖父や祖母は暴徒なのか」と日本政府を批判する声が相次いだ。植民地支配の犠牲者や遺族が存命している韓国との温度差を感じさせる出来事だった。韓国ではこの問題をきっかけに独立記念館建設が進められ、中国でも歴史記念館の建設や、南京大虐殺の写真展が各地で開かれるようになった経緯がある。

 その後も、日本政府閣僚の歴史認識に関する妄言が続き、韓日間では糾弾と謝罪が繰り返されてきた。

 98年に金大中大統領が公式訪問した際、小渕恵三首相とともに韓日のパートナーシップ宣言をうたった。金大統領は「歴史問題について今後、韓国側から発言することはない」と表明し、韓日の真のパートナーシップ時代が始まったかと思わせた時の事件となった。同許可書は137カ所にのぼる検定意見を文部科学省が付け、筆者側が修正を受け入れたことで検定を通過する見込みだ。

 これについて歴史学者の李進煕さんは、「日本政府は結局遺憾声明だけで、侵略行為に対する真の反省も謝罪もしてこなかったし、事実を究明する歴史研究も怠ってきた。韓国側がパートナー宣言をし、日本文化開放を行ってきたことで、表現は悪いが甘く見たのではないか。これが今回の教科書問題の背景にある」とした上で、「7日まで韓国にいたが、韓国のマスコミや市民の危機意識は強く、この問題は当分続くと思われる。つくる会の教科書は表現を変えても本質は変わっていない。まず検定を通さないように森首相は指導力を発揮すべきだし、その後で両国共同の教科書作りに取り組むべきだ。それが21世紀の真の韓日パートナーシップへの道」と提言する。

金鍾泌・元首相が
森首相に是正求む

 日本政府の対応に注目し、当初は李外交部長官の憂慮表明だけだった韓国も、1日の独立運動記念日に金大中大統領が「日本が正しい歴史認識を持つことを期待する」と演説。7日には金鍾泌・元首相が特使として来日、森首相に「韓日関係に悪影響を及ぼさないようにしてほしい」と要請した。これに対して森首相は、「文部科学省が検定基準に従って、厳正に手続きを行っている」と述べるにとどまった。

町村文部科学相に
民団が要望書提出

 在日韓国民団(金宰淑団長)は5日、韓国商工会議所、婦人会、体育会、青年会、青年商工会の代表とともに文部科学省を訪問、金団長名の「2002年度中学歴史教科書に対する要望書」を提出した。

 同要望書では「82年の教科書問題をきっかけに、『近隣諸国条項』が設けられた経緯と趣旨を踏まえ、アジア各国に誤解を生むことのない多民族共生社会をめざす教材を作るよう」要望した。