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2001/02/23

<在日社会>南北を結ぶ「京義線」鉄道 在日も復旧支援

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            「京義線」の韓国側中断点で

 2000年6月に行われた金大中大統領と金正日総書記の南北頂上会談で、軍事境界線で分断された鉄道「京義線」の連結が合意、現在工事が進められている。この鉄道建設を在日の立場で支援しようと、愛知在住の在日韓国・朝鮮人有志が呼びかけ人となり、募金運動を3月1日から始める。6月15日の南北頂上会談一周年までに第一次募金を集約し、南北両政府に伝達する計画だ。

 会の運営を担ってきたのは、愛知県豊橋市在住で在日韓国人2世の都相太さん(59)ら。南北頂上会談直後の2000年7月に、有志で準備委員会を設立した。「三千里錦繍江山」と称された祖国にちなみ、同運動を「三千里鉄道」と名付けた。南北鉄道の連結計画参加を通して、韓半島の平和と統一に貢献し、在日同胞の心の故郷を創造しようという試みだ。

 京義線は、ソウルと新義州を結ぶ総延長499㌔の大動脈だったが、南北分断後は軍事境界線をはさんで約20㌔が断絶されている。

 準備委員会設立後、呼びかけ人を募り、9月30日に会を正式発足させた。呼びかけ人は田英夫・参議院議員、近藤昭一・衆議院議員、エッセイストの朴慶南さん、在日2世の歌手・新井英一さんなど300人が現在、名を連ねている。

 会では当初、枕木を送る計画を立てていたが、韓国政府から枕木はすでに準備を終えたとの返答を受け、断絶部分20㌔のうち、4㌔分の鉄路代3000万円を募金する計画に変更した。

 募金の透明性を保証するため、弁護士や公認会計士も準備し、3月1日からの募金運動開始となったものだ。募金だけでなく、建設現場への人材派遣、海外同胞および多くの人々が鉄道建設に参与したことを記念し、世界の平和を祈念するモニュメントの建立も計画している。

 会ではホームページを立ち上げ、寄付者の名前をホームページ上で公開するとともに、年に一度決算報告を行い、運動の推進状況も随時公開していく。またNPO(民間非営利組織)の申請も行っており、5月には認可が下りる予定である。募金活動と並行して、画家の呉炳学氏の絵を表紙にした「三千里鉄道夢切符」を一部1000円で販売、募金にあてる。南北両政府には現在、募金の趣旨を説明、返答を待っているところだ。

 都相太代表は「祖国の分断に在日も影響を受け、南北の組織に分かれて傷ついてきた。平和と統一への道に参与することで、その傷をいやし平和に貢献したい。在日の次世代を担う若者が運動に協力してくれることを願う」と話す。

問い合わせは ℡0532・53・6999
ホームページは http://www.sanzenri.gr.jp