関西興銀、東京商銀、京都商銀、福岡商銀など経営破たんした在日韓国人信用組合協会加盟の4信組の事業譲渡先が早ければ来週にも決まる見通しだ。昨年末の競争入札の結果、優先交渉権を獲得した北東商銀、近畿産業信用組合、熊本商銀は該当信組の管財人との間で引き受けのための増額する出資金額を取り決めている。その増資分の入金期日は15日。予定通り入金されれば、事実上、引き受けが確定する。
北東商銀の場合、17億円の増資予定額のうち、すでに90%の入金を確認したという。期日までに全額入金に問題はないとして、16日に東京商銀で事業譲受の契約を結ぶスケジュールも決めた。
東京商銀の正常債権は400億円を切ったとみられ、17億円の増資ができれば自己資本比率4%以上は十分クリアできるという計算だ。ちなみに、現在の出資金6億円を合計すると23億円になる。
今回の増資では、民団東京本部が積極的に動き、中央執行委員会で「ドラゴン銀行」を破たん4信組の受け皿にするとした決定に反するとして中央本部から警告を受け、結局東京本部として動くことを取り止めた経緯がある。しかし結局、個人資格で動き、相当数の額を集めた。ここまで北東商銀に肩入れした理由ははっきりしていない。
北東商銀の陣容は45人。店舗数は仙台の本店と北海道の3支店を合わせて計4。それに比べると、東京商銀は200人以上の職員をかかえ、店舗数も17にのぼる。
北東商銀はこのうち8店舗を譲り受ける模様だが、小が大を飲み込むような形になるだけに、事業譲渡が実現した場合、果たしてどんな経営・運営体制になるのかが興味深い。
その点は、関西興銀と京都商銀引き受けの最優先交渉権を獲得した近畿産業信組の場合、より深刻な問題になりそうだ。もっとも、両信組を引き受けるためには100億円(関西興銀88億円、京都商銀12億円)の出資金増額をまずクリアしなければならない。
昨年12月の近畿信組の記者会見では、出資予約額は207億9900万円に達したと発表されたが、実際に現在どれだけの入金がなされているのかは、はっきりしない。
特に、関西興銀は最盛時の1兆円を超す資金量に比べると急減しているものの、まだ2000億円ほどの正常債権はあり、規模は大きい。店舗数44、職員数も減ったといえ700人台を維持している。
近畿産業信組は昨年、引き受けてのないまま宙ぶらりんだった大阪商銀の事業を譲受するまでは京都に本店1店舗、職員も20人前後の小規模信組だった。
「もし今回、新たに巨大な2信組の事業譲受に成功すれば、零細業界紙が地方深部に加え大新聞まで経営するようなものだ」という指摘があるほどにとてつもない肥大化だ。
全く同様に、福岡商銀の優先交渉権を獲得した熊本商銀も「小が大を飲み込む」典型だろう。熊本商銀の店舗数は本店含め3店で、職員も30人弱にすぎない。九州地域の他の商銀と合併して大型化を図るとしているが、厳しい金融環境のもと、経営健全化の道のりは険しいのが現実だ。
事情通の間では、「事業譲受より受ける公的資金が切れても、しっかりした経営ができるように早急な対策が必要だ」という指摘が多い。