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2002/12/06

<在日社会>永住外国人に住民投票権を

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    永住外国人の住民投票参加を認めた滋賀県米原町議会(今年1月)

 日本の各地で住民投票の動きが広がる中、永住外国人に投票権を認める自治体が増えている。地方参政権獲得運動はストップした状態が続いているが、この住民投票の動きを追い風にしょうと、在日韓国民団は積極的に運動を進めている。

 永住外国人に住民投票を認める動きは、今年1月の滋賀県米原町から始まった。周辺市町村との合併の是非を問う問題で、村西町長が中心となって永住外国人にも認める方針を出し、議会で可決された。

 村西町長は、「その地域に居住する永住外国人が、地方自治に意見表明を行うのは当然の権利であり、共生社会の第一歩につながる」として、積極的に推進した。その後も合併問題で住民投票を行う決定を下した自治体は増え続けており、この動きは今後さらに加速化すると見られている。

 民団ではこれに対応し、地方参政権運動を促進させる一助として、住民投票資格に永住外国人を加える運動に積極的に取り組み始め、12月議会で住民投票を決定予定の市議会に永住外国人を加えるよう各地で要請している。

 大阪府高石市と三重県名張市では当初、住民投票に永住外国人は入っていなかったが、地元の民団本部が市長に面会を申し入れ、実現に至った。

 また埼玉県岩槻市も先月29日、来年1月に実施予定の合併の是非を問う住民投票で、永住外国人にも投票権を与える追加議案を今月開催の定例市議会で提案する。11月14日に行なわれた臨時議会では入っていなかったが、民団埼玉本部や日朝協会県連合会などから要望があったのを受けて、追加することにしたものである。

 積極的に永住外国人を加える自治体も増えており、埼玉県富士見市は2日、行政課題について直接市民に賛否を求める市民条例案を今月の定例市議会に提案するおり、永住外国人に投票権を与えることにした。同市の場合、永住外国人は264人いる。

 長野の富士見町も2日、近隣の茅野市、諏訪市など諏訪5市町村との合併の是非を問う住民投票条例案を発表し、永住外国人に選挙資格を与えることを決定した。

 徐・民団国際局長は、「地域住民の当然の権利として住民投票権が認められるよう、さらに運動を進めたい」と話している。

 永住外国人に投票資格を認めたのはこれまで、滋賀県米原町、愛知県高浜市、秋田県岩城町、岡山県奈義町、大阪府高石市、福井県松岡町、福岡県北野町、三重県名張市、滋賀県長浜市、埼玉県岩槻市の10で、静岡県東伊豆町、埼玉県富士見市、長野県富士見町の3つが近日中に議会で可決方針だ。


九州産業大学 近藤敦助教授の話

 永住外国人の住民投票を認める自治体が増えている。その多くは合併問題にかぎるとはいえ、自治体が条例により、住民投票を定め、その投票権者を決めることは、「住民自治」の理念を具体化する動きとして評価できる。

 自治の担い手としての住民には、永住外国人も含まれる可能性を最高裁判決が1995年に示してから、国会における法改正は停滞状況にあった。一方、多くの自治体の議会は、永住外国人の地方参政権を求める要望書を国に提出してきたものの、自らの創意による永住外国人の住民投票の取り組みは、まだ始まったばかりである。

 自治体として独自に行うことができる多文化共生のための政策に真摯に取り組む一方で、国の法改正を求めることがこれからの自治体には求められている。こうした足元を見直す地道な取り組みが、民主主義の不足を解消する意義の確認につながり、参政権を拡充する道のりの一里塚をひとつずつ築き上げていくことになるであろう。