川崎病の子どもを抱えた韓国人6家族がこのほど来日、在日韓国人の経営する循環器の専門病院「綾瀬循環器病院」で診察を受けた後、日本の川崎病の会と交流に臨んだ。橋渡しをしたのは韓日を往来し、川崎病治療に取り組んでいるチョ・自然医師(写真)だ。韓日の親の会は今後、相互交流を深める計画だ。
今回来日した韓国の川崎病の子どもを持つ親の会は6家族。子どもは赤ん坊から小学校3年生まで。川崎病は原因不明の難病で、心筋梗塞にかかりやすくなり、また突然死する例もある。韓国と日本に患者が多いが、その原因も不明だ。毎年韓国で約3000人、日本で約6000人が発症している。
治療法が確立されてないので、家族は手探り状態で負担が大きい。日本では保険が認められているが、韓国では専門医がおらず、保険が認められていないため金銭的負担も大きい。
韓国で家族の会が作られたのは昨年12月。同問題に長年取り組んできたチョ医師が、昨年6月、韓国に川崎病の研究所を設立したのがきっかけだ。川崎病の子どもを2人持つ安麒秀さんがチョ医師と相談を重ね、同じ子どもを持つ親同士で助け合えればと昨年12月に設立した。ホームページで会員を募集したところ、大きな反響を呼び、現在は会員1500人に増えた。
日本の親の会はいまから20年前、1982年に立ち上げられた。子どもが川崎病で、5歳の時に突然死した浅井満さんが、自分と同じような悲しみを持つ親を出したくないとの思いで発足した。以来、親同士の意見交換、治療法を求めて医師との相談、日本政府との交渉、全国キャラバンなどを展開してきた。チョ医師との交流も古く、今回、チョ医師の橋渡しで韓日交流が実現することになったものだ。チョ医師は、「日本のほうがこの病気についての取り組みが長いので、日本の家族の会から話を聞くことが、韓国の家族の助けになると思った」と意義を語る。21日には在日の丁栄市医師が経営する綾瀬循環病院を家族とともに診察に訪れ、将来の外科治療の方法を相談。同日夜に交流会を行った。
浅井会長は、「川崎病にかかった子を持つ親の気持ちは同じ。日本の経験、データを伝えていきたい。韓日でともに支えあっていければうれしい」と話す。
『川崎病』とは
川崎病は、川崎富作医師(当時日本赤十字センター小児科)が1967年に発見した幼児の急性発疹性疾患。5日以上の発熱、充血、発疹、口腔粘膜の腫れとただれ、頚部リンパ節の腫脹などを呈する。川崎病にかかる子どもは1歳前後をピークに4歳以下の乳幼児に多く、男子がやや多い。全患者の10%前後に、心臓の筋肉に酸素や栄養を送る冠状動脈に後遺症が残り、冠状動脈が拡張したり、コブができる。しかしいったん拡張したりコブのできた冠状動脈も自然に小さくさり正常な大きさに戻る。極まれにコブの中に血栓ができたり、コブの入り口が狭くなって冠状動脈が詰まり、心筋梗塞発作を起こし死亡するケースもある。原因は不明。