在日韓国婦人会中央本部(金定子会長)の2002年度全国大研修会が、先月17日から行われている。研修は今月25日まで全国6地区で7回に分けて開催、在日高齢者問題への対応、21世紀の組織の在り方などについて研修を重ねる。
研修は各地区2泊3日のスケジュールで行われており、近畿B地区(6月17―19日)300人、近畿A地区(同19―21日)320人、中四国地区(同25―27日)300人が参加した。今月に入って、栃木・鬼怒川温泉で行われた関東地区研修(4―6日)は400人を超える参加者が、札幌での東北地区研修(10―12日)には約200人が出席している。残りは中北地区(17―19日)、九州地区(23―25日)となっている。
研修は女性教養、北韓情勢、高齢社会問題、今後の在日組織の方向性を主テーマに行われている。
李・ハンナラ党副総裁(韓国国会議員)、李・韓日女性親善協会会長、黄迎満・民団中央本部事務総長、鄭夢周・民団中央副事務総長らを講師に迎え、報告が行われている。
関東地区研修で報告を行った黄・事務総長は、「21世紀の在日組織を考えるうえで、安定した財政基盤、情報の共有化が必要。人権運動の継続、歴史資料館の建設は大切な課題」と強調した。
金定子会長が就任以来、もっとも力を入れている高齢社会問題については、在日高齢者のための特別擁護老人ホーム故郷の家・神戸施設長の田内文枝さんが報告した。
田内さんは、「在日1世の高齢者のために、キムチがあり、オンドル部屋で韓国語で話せる、そんな老人ホームを作り、在日高齢者が安心して”死”を迎える老人ホームが必要であると考えて、夫の尹基が中心になって建設を推進してきた。在日高齢者のために、いつか老いを迎える自分自身のために、いまから準備をする必要がある」と語った。
金定子会長は「全国の婦人会が一致団結して、内容ある研修を行うことが出来た。今回の研修で高齢社会問題への認識が全国的に深まりつつある。高齢化社会に備えた福祉事業を実現させるために、老人ホームの建設推進を含め、具体的な取り組みを今後真剣に考えていきたい」と成果を強調した。
田内文枝・故郷の家施設長
高齢化社会は70年代に入って問題が認識されるようになった。日本社会全体の高齢化率は2000年に17%を超えた。平均寿命は女性89歳、男性が80歳。人口の5人に1人が高齢女性だ。家族の『介護地獄』に対応するため、介護保険が2000年から実施されるようになった。私の住む神戸市長田区では高齢化率が26%にもなる。2050年には65歳以上の人口が37・4%にもなる見込みだ。
子どもたちに民族のルーツを教え、民族の誇りを持ち、そして国際社会で活躍する若者を育ててほしい。そして、自らが高齢者になるときのために、介護保険の利用方法、いい介護施設、病院、ヘルパーの利用方法などをいまのうちから知っておくことが大切。大阪の婦人会ではヘルパーの研修を始めたが、いい取り組みだと思う。老いを学ぶことは人生を学ぶこと。いまから備えをしてほしい」