ここから本文です

2002/03/01

<在日社会>見せかけ融資あれば重大事態

 経営破たんした4信組(在日韓国人信用組合加盟の東京商銀、関西興銀、京都商銀、熊本商銀)の受け皿を決める入札結果について、衆院予算委員会でその経緯に対して追及があった。上田清司議員(民主党)の「見せかけ融資はなかったか。バックファイナンスの実態が出たらどうするのか」と質問。これに対して柳沢伯夫・金融担当相は、「出資金の払い込みは最終決定の大きな要因であり、万一そういうことがあれば、かなり重大な事態になる」と答弁した。

 受け皿をめぐる競争入札には、既存の信組のほか、在日銀行をめざす㈱ドラゴンが応札した。その結果、東京商銀の事業譲渡先は北東商銀に決まった。関西興銀と京都商銀はそれぞれ近畿産業信組に、福岡商銀は熊本商銀にそれぞれ譲渡されることになった。

 上田議員は、「過去の受け皿をみると、それ相応にでかいところが受け皿になっている。人員、預金、資本金が全部(受け皿が)劣るということは過去の譲渡の中ではなかった。まさにハエの頭に馬がとまっているようなものだ」と指摘、「これでは第2次破たんが危ぶまれる。なぜ優先交渉権を与えたのか」と質問した。

 これに対して柳沢金融相は、「できるだけ在日韓国人社会の総意が一元化されることを率直にいって望んでいたが、そういう方向に進まなかった」と述べ、「費用最小化の原則、譲渡後の経営の安定性をポイントに審査した結果だ」と説明した。

 その答弁に納得の行かない上田議員は、近畿産業信組の例を挙げ、「まず役職員23人の京都シティー信組が大阪商銀を引き受け10倍の規模になった。半年後に関西興銀と京都商銀の受け皿となり、1年もたたずに巨大化する。こういう時に、人事の構成や経営の形態としてうまくいくのか」と追及した。

 柳沢長官は、「関西興銀も京都商銀も最初は違う方法で役員や職員の構想を持っていたが、最終的に近畿産業で行こうと決断した。迷いはあったと思うが、管財人はそういう人心の動きとか、それぞれの人たちの考え方の変遷とかをずっと追いかけていた」と述べるにとどまった。

 上田議員は続けて、「ディスクロージャー誌では実は4信組とも正常でありながら突然破たんした。これではディスクロージャー誌も信用できない。極めて短期間で増資して資本を集める過程でも見せかけ融資はなかったか。私はその事実をいくつか持っているが、もしバックファイナンスの実態がでたらやり直すのか」とただした。

 柳沢長官は、「バックファイナンスで本当の資本といえるのかという点は、競争相手からも指摘された点であり、十分検査をし、そうでないと確認した上で決定した」と述べながらも、「出資金の払い込みというのは、最終的な決定の大きな要因であり、それに瑕疵があるということになれば手続きの進行上、もしこういうことが万が一あれば重大な事態ということになる」と答弁した。