在日韓国民団中央本部の3機関長選挙が27日に行われる。民団社会を活性化できる人材を選出すべきだが、この選出方法自体について疑問を投げかける声が多く、「なぜ私たちに選挙権はないのか」という若者の指摘もある。果たして現在の代議員制は、民団員の幅広い声を代弁しているのかという疑問だ。3機関長選挙を直接選挙制にし、20歳以上の民団員に投票権を与えるべきだという声が多く寄せられた。選挙制度改革を求める声を紹介する。
民団中央本部の3機関長選挙は、522人(2月27日現在)の代議員(男484人、女38人)による投票で行われる。現在の平均年齢は60.39歳であり、最高齢は83歳になる。ここでも高齢化の問題が深刻だ。若者で選挙に参加できるのは、青年会、学生会の16人だけであり、ある若手代議員は、「これでは広範な在日の若者の意見を選挙に反映させることはできない。韓国の大統領選挙でインターネットを使った選挙戦が実施され、若者の声が選挙戦の帰すうを制したのとは大きな違いだ」と指摘した。
大阪在住の60代の男性は、「韓国の大統領選挙も昔は間接選挙だった。でも、どちらがより民主主義を生かした制度かといえば直接選挙制だろう。民団社会でも代議制を取り入れた理由はあるが、現状では弊害のほうが目立つ。得票のための買収工作などひんしゅくを買ったものだ。いまの代議員はみなもらっている。直接選挙制はこのような腐敗防止につながる」と選挙制度改革を訴えた。
都内に住む在日2世の男性(55)は、「韓国の大統領選挙で若い盧武鉉氏が選ばれたのは、18歳以上の国民すべてに投票権があったからだ。民団の3機関長選挙は代議員制をとっているが、インターネットも発達した今日、直接選挙制が導入できない理由がない。次回からはインターネット投票も取り入れた直接選挙制にして、20歳以上の民団員に投票権を与えて欲しい。そうすれば民団の活性化につながるはずだ」と話す。
2000年に現在の金宰淑・中央団長体制が発足したとき、民団中央は新時代の在日同胞社会と民団組織のあり方を研究する「在日同胞21世紀委員会」を設置、2002年9月まで2年間活動を続けた。同委員会の中には「IT部会」が設けられ、在日の科学者、大学教授などがメンバーに加わり、民団中央本部と地方本部のIT化・情報化およびネットワーク化、民団および同胞社会に対する情報発信などが提起されている。
「IT化を推進するならば直接選挙が出来ないわけがない。人口4700万人の韓国では即日開票したいるではないか」との声は、30代の関西地方の男性から寄せられた。
もっとも、「民団中央の選挙を直接選挙制にしても、そもそも若者は民団に関心がなくなっている。直接選挙だけでなく、若者の心をつかむ候補者や政策が出てこないと組織の若返りは果たせないのでは」(30代、在日3世、男性)との懐疑的な声もある。
また、「投票権も与えられず、民団に関心をもつ人が増えるのはあり得ない。カネを使わずに政見発表し、それに対して意見も言えるほうが、よりいい人材が登場すると思う。人材がいないから高齢化しているのではなく、いい若手の人材を発掘する努力を怠ってきた結果が今日の民団だ」との声は多く寄せられた。
3機関長選挙ではどの候補者も、改革と世代交代を唱えている。IT社会にふさわしい改革を本気で実現してもらいたいものだ。