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2003/05/30

<在日社会>在日の帰化者最近5年で4万8000人

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 日本の常葉学園短期大学に留学している女子バスケットの大型選手、河恩珠さん(20)が、日本に帰化し、韓国の反発を呼んで話題になったが、いま日本への帰化者は年間1万5000人台に達している。そのほとんどが在日韓国・朝鮮人と中国・台湾系で、特に在日は1万人前後にのぼる。法務省では帰化手続きを以前よりはかなり簡素化していると説明しているが、いまだに多い申請書類の煩雑さに疑問を呈する声も多い。現況を追った。

 サンフランシスコ条約で在日韓国・朝鮮人が日本籍を離脱したのが1952年、この年に232人が帰化し、以後昨年まで半世紀で26万3245人が帰化を許可された。帰化許可数は50年代から80年代にかけて年平均3000-5000人前後だったが、90年代から増え始め、95年に初めて1万人を突破、以後毎年1万人前後が帰化をしている。昨年までの最近5年間では4万8000人を超す。帰化問題に詳しい専門家は、「日本で生まれ育った2世、3世が増え、生活の便宜のため帰化する人が増えているのだろう」と話す。

 官公庁の情報開示により帰化申請者数も明らかになったが、それでも98年以前の申請者数は「統計をとっていない」という。「正確な実態を知るためにも、98年以前の申請者数を明らかにしてほしい。許可されない人が過去にはどのぐらいの比率になるのか隠しているとしかいいようがない。もともと日本が旧被植民地国の人々に国際慣例に反して国籍選択権を与えなかったことを考慮すべきだ」と在日関係者は要求している。

 特別永住権を持つ在日の場合、「書類がそろっていればまず認められますよ」と窓口の職員が説明するケースも多い。不許可者数は2002年の場合、わずか107人だ。

 しかし、条件を満たさず帰化が無理と判断した場合には、窓口で帰化申請を受理しないように職員が対応しているため、実際の不許可者数はこの数字を若干上回っている可能性がある。また、許可される場合でも、申請から最低1年はかかるという。

 法務省では帰化要件を簡素化したというが、問題となるのは申請要件の煩雑さだ。まず帰化申請の条件として住所要件、能力要件、生計要件、重国籍防止要件、憲法擁護要件などがある。申請者が一人の場合と家族全員で申請する場合でも書類の様式が変わる。本国の証明書も必要となる。日本で生まれ育った在日3、4世にここまで書類が必要なのかと異議を唱える人も多い。

 在日や日本の識者の間では、「世界の大勢は生まれた地の国籍を与える出生地主義だ。血統主義から生地主義に切り替えたドイツのように、日本も生地主義にすべき」との声が出ている。在日2世の高英毅弁護士は、「権利としての日本国籍取得が認められるべき」と話す。