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2003/11/21

<在日社会>在日新時代迎え、日本国籍取得を提起

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    100人が参加した在日コリアンフォーラム(大阪)

 在日コリアンの未来について考える「第1回在日コリアンフォーラム『参政権・国籍・教育』」が16日、大阪国際会議場で開かれた。主催は在日コリアン弁護士協会(LAZAK)。会場には全国から約100人の在日コリアンが参加、民族教育、日本国籍取得問題などについて議論を重ねた。弁護士協会の2人の共同代表は、「2・3世の時代に政治的権利を獲得するのに、日本国籍は不可欠」と提唱した。フォーラムの最後には同協会から在日の団体・個人に向けて国籍問題など協議する「在日コリアンネットワーク」(仮称)の結成が提唱された。

 フォーラムは関西地域で人権、民族教育のために活動している在日コリアンら10人のパネリストによる意見交換の後、会場全体のディスカッションの形で行われた。

 在日コリアン弁護士協会共同代表のペエ薫弁護士は、「子どもが消防士になりたい、警察官になって悪者を捕まえたいというとき、在日だから無理だということのない社会にしたい。われわれの夢を実現するには、地方参政権のみならず、国政レベルの参政権や公務就任権が不可欠であり、金という名の国会議員や、朴という名の検察官、裁判官が現れる必要がある。在日の子どもたちの尊厳を守る教育、多文化共生社会も保障されなければならない。積極的(日本)国籍取得がこのような社会を実現させる有力な選択肢となるはず」とあいさつした。

 同じ共同代表の高英毅弁護士は、「法的に言えば、在日コリアンは民主国家でなく専制国家に住んでいるようなものだ。結婚、就職、高齢者年金など差別はまだあるが、そういう個々の差別よりも大きいのが日本への制度的従属状態だ」として、「在日コリアンが国政レベルを含めて日本国家の制度や公的システムに在日コリアン自身の意思を反映させる制度的地位を取得するための現実的な選択肢は、日本国籍を取得する方法による他なく、日本当局との『協議と合意の場』を団結して求めるべきだ」と訴えた。

 在日韓国基督教会館の金成元氏は、「これまで日本国籍を取るのか、在日として生きるのか、国に帰るのかという問いかけが在日にはあった。故崔昌華牧師は、失われた日本国籍を取り戻すという運動を主張したが、1世の崔さんと2世、3世の自分たちとの衝突があった」と述べた。

 金竜介弁護士は、「自分は日本国籍。自分が学生時代(20歳のとき)家族全員で帰化している。実は自分は帰化に反対だった。金原が戸籍名になったが、金の名前を使っている。現在の帰化制度は問題があると思う」と話した。

 ペエ薫弁護士は、「民族教育について言えば、私たちがしっかりした考えを持っていないと教育権訴訟を起こしても裁判で闘えない。民族教育のはっきりした理論案も必要だ。先日ハワイ州のコリアン系最高裁判事に会った。コリア語も出来ないが、地域に根を下ろしている。韓国の人は私たちが日本国籍でないことが理解できなかった。東北アジアにはコリアンが根を張っている。多文化共生、民族教育のためにも国籍を取って活動する必要があるのでは」と訴えた。

 フリーライターの高賛侑さんは、「日本国籍を取って権利を得るという発想は、国籍を取らない外国人は差別されても仕方ないということにならないか。外国人の立場で市民的権利を目指すのが運動の筋ではないか」と疑問を呈した。

 高弁護士は、「参政権があらゆる外国人に求められる国家というのは国家が消滅し世界連邦が出来ないと無理。日本で権利を得て自立した市民になるには、国籍というルートをくぐらないとだめ。日本政府から新たに日本国籍取得法案が出たときにどう対応するのか。シチズンシップは日本ではほとんど実現可能性がないというのが法律家としての立場」とした。

 ペエ薫弁護士は「自分は将来、ペエ薫という名の裁判官第1号になりたいと思う。国籍を変えるのは黒人が白人になるという、肌の色を変えることではない。子どもたちに未来を託すための私たちの提案」と語った。

 金成元氏は、「日本が分断して支配してきたことへのアレルギーが私にはある。朝鮮籍、韓国籍、日本籍、非永住者が全て権利を持つようにしたい」と述べた。

 これに対してペエ薫弁護士は、「外国籍のままで権利を持つのは、地方参政権が限度。一緒に権利を獲得するのは理念的によくても現実的に無理。出来るところからやっていくべき」と説明した。

 高弁護士は「日本国籍を取らないということは、日本のシステムはすべて日本人にあることになる。日本が日本人だけの国でないなら、権利を手に入れるべき。国民国家が問題ではなく、国民の要件枠を狭めてきたことが問題」と訴えた。

 最後に李宇海弁護士が、「在日コリアンネットワーク」(仮称)への入会を呼びかけて終了した。