2001年1月26日、JR新大久保駅で誤ってホームから転落した客を助けようとして帰らぬ人となった韓国人、李秀賢さんの行為を顕彰するために設立された李秀賢顕彰奨学会(特定非営利活動法人エルエスエイチアジア奨学会)の2003年度奨学生が決定した。28日に李秀賢さんの両親出席のもと、奨学金の授与式を東京・豊島区のミプロ国際展示場で行われる。
「母国と日本の懸け橋を目指した息子の遺志を継ぐために、同じように大志を抱き、日本で学ぶ就学生を支援する奨学金制度を作るために寄付したい」。李さんの父、李盛大さんと母・辛潤賛さんが、李さんが通っていた赤門会日本語学校の新井理事長にそう希望を伝えたのが、奨学金発足の始まりだった。
李秀賢さん亡くなった直後から、李さんが通っていた赤門会日本語学校には、日本全国から李さんの両親あてにお見舞いや励ましの手紙が多数寄せられ、そのため急きょ、「李秀賢君の勇気をたたえる基金」を設立、お見舞い金をここに集めることになった。
その後2000万円を超える金額が基金に届けられた。また財団法人日本語教育振興協会も「李秀賢君を悼む会」を発足、全国の日本語学校の学生と教職員に遺族への見舞金募金の呼びかけが行われ、415万円が集まるなど、日本全国から多額の募金が寄せられていた。
李盛大さんの提案を受けた日本人有志グループは2001年8月、「李秀賢顕彰奨学会準備会」を正式発足、11月には国際交流基金から特定助成対象事業としての認定を受け、特定寄付金として税制上の優遇を受けられるようになった。
ご両親は昨年1月、李秀賢さんの顕彰碑、記念公園設立への寄付を行った後、1000万円を奨学会に寄付、同26日に奨学会が正式発足した。
奨学会はその後、国際交流基金から正式認可を受けるとともに、特定非営利活動法人エルエスエイチアジア奨学会としてスタート、奨学生の募集を始めることになった。ご両親からも再度寄付が寄せられた。
そして第1回の授与式は2002年10月17日に都内で行われ、就学生93人が奨学金を受けた。そして28日、今年度の奨学生56人が決定し、授与式が行われるものだ。
李盛大さんは、「秀賢が果たせなかった夢を皆さんが成し遂げ、韓日が真の隣人同士として共に生きる時代が来ることを願い信じている」と語り、当日も出席して奨学生を激励する予定だ。
昨年奨学金を受けた金乾龍さんは、「奨学金のおかげで入りたい大学に進むことができた。メディア文化を勉強しているが、両国のメディア文化の違いを、それぞれの国に伝えたい」と、奨学金への感謝を伝えた。