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2003/10/17

<在日社会>世界で活躍する科学者育成を

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    「科学への関心を深めてほしい」とあいさつする洪政國会長

 創立20周年を迎えた在日韓国科学技術者協会(科技協、洪政國会長)は11日、東京・千代田区の学士会館で記念式典を開催した。当日は民団関係者、一般同胞など200人が参加、科学の世界への関心を深めるとともに、科技協の一層の発展を誓った。

 記念式典の冒頭、洪会長はこれまでの歩みを振り返り、在日社会のこれまでの支援に感謝するとともに、「在日の子弟から科学者の志望者を増やすとともに、科学者になる具体的な手助けをしていきたい。世界で活躍する科学者が出てほしい」とあいさつした。趙世衡・駐日韓国大使も出席し「科技協の発展を期待する」と語った。

 次に有馬朗人・元東京大学総長の特別記念講演「科学技術の展望と科学技術者」が行われ、有馬氏は「韓日両国は科学者育成にこれまで以上に力を入れないと、欧米に差をつけられる」と訴えた。

 科技協は記念大会開催とともに「在日韓国科学技術者活動史」「同人名録」の編纂も計画している。日本の大学で自然科学、工学、医学などの各分野で勉学し、韓国または日本などで活動している在日出身の科学者の活動史と名簿を作成するもので、記念式典でも名簿作成への協力が呼びかけられた。また科技協の活動を紹介するために募集していたポスターの発表会も行われた。

 日本政府の「在日の職業分布データ」(2001年)によると、日本には在日の科学者が9300人いる。その中から科技協への入会者を増やすことは重要な課題だ。また在日の医師は3500人おり、医療関係全体ではさらに増える。

 科技協は83年10月22日に在日韓国人科学技術者によって設立され、学術研究発表会、韓国産業視察などの活動を行ってきた。現在、活動会員は約500人。筑波、関西、中部、東北・北海道、九州に支部がある。洪会長は第11代会長として2001年7月に就任した。

 「技術革新と国際協力:韓国企業の挑戦」とのタイトルで講演した林寛・韓国科学技術院理事長は、特にエレクトロニクスで大躍進を遂げ、半導体メモリーでは世界最高水準にあるサムスンの現況を説明、韓国企業がここまできたことの意義を力説した。

 韓国の現代科学は45年の解放後に始まったが、その後、科学教育の基盤が出来る前に韓国戦争で頓挫。60年代に入って経済成長を遂げるとともに、ようやく科学技術・教育が軌道に乗った経緯がある。現在、科学技術は急速に発展し、韓国経済の発展に貢献した。

 しかし、理工系より社会科学分野が重用される韓国の風潮、科学より芸術や体育にあこがれる若者が増えている現状、また科学を専攻しても国内の大学卒業後、海外の先進国に流出する現状などの問題点を抱えており、国内における科学技術者の育成が急務となっている。