在日韓国人女性の波乱に満ちた半生を描いたフジテレビ制作のドキュメンタリー映画『HARUKO』が、「光州国際映画祭」に正式招待された。日本のドキュメンタリー映画が同映画祭で上映されるのは初めてのことだ。
『HARUKO』は在日1世の鄭ビョンチュンさん(87)が、12歳で渡日後、家族を養うために37回の逮捕を重ねながらも、ヤミ商売で生計を立てる姿と現在の生活を、鄭さんの息子が撮ったフイルムを中心に描いた作品。
ドキュメンタリー映画としては異例の大ヒットとなり、東京のポレポレ東中野では12週間の超ロングラン上映。その後の大阪、名古屋での上映も大盛況だった。
同映画を正式招待した「光州国際映画祭(GAFF)」は、釜山・全州・富川と並ぶ韓国4大映画祭のひとつだ。
金大中元大統領の地元で、光州ビエンナーレなど国際美術展にも力を入れる光州市が、町を上げての芸術振興の一環として4年前に始めた。映画祭への参加者はのべ15万人にも達する。今年の出品作品は世界約30カ国から110本が予定されている。
今年は9月2日~11日の間、光州市一帯で開催され、『HARUKO』ノンフィクションシネマ部門の正式招待作品として上映される。
在日韓国人家族をテーマにした映画が、韓国の国際映画祭から正式招待されるのは異例。野澤和之監督、鄭ビョンチュンさんが招かれ、映画の公開日には舞台あいさつも行われる。
国際映画祭で上映された作品は韓国国内での公開が許可されるため、今後韓国国内で一般上映される可能性もある。
在日1世の壮烈な生き様に、韓国の映画ファンがどういう反応を見せるか注目される。
岡田宏記プロデューサーは、「在日韓国人を主人公にしつつ、普遍的な家族のきずな、なりふりかまわぬ母の愛を描いている。その姿を見てほしい。また韓国社会の在日に対する理解にも役立てばうれしい」と話す。