第2回在日コリアンフォーラム「在日コリアンの政治参加を求めて~参政権、国籍、そしてアイデンティティー」が14日、東京・水道橋の在日韓国YMCAで開かれた。主催は在日コリアン弁護士協会(LAZAK)で、約250人が参加した。昨年11月の大阪でのフォーラムに続いて開かれたもので、在日コリアンが日本社会にどう政治参加していくか、熱心な論議が繰り広げられた。
フォーラムは白眞勲・民主党参議院議員、陳賢徳・在日韓国民団中央本部中央執行委員、辛淑玉・人材育成コンサルタント、二木啓孝・日刊現代編集部長をパネリストに行われた。
まずLAZAK共同代表の高英毅弁護士が「在日コリアンと参政権|在日コリアンは『二級市民か』」と題して基調報告を行った(別掲)。
パネルディスカッションでは各自が意見を述べた後(別掲)、討論に入った。まず地方参政権問題では、公明党が国会に提出した「永住外国人の地方選挙権付与法案」が被選挙権を除き、選挙権も朝鮮籍を排除した法案となっていることについて話し合われた。
白議員は「公明党案は問題が多い。しかし、それでも自民党は反対するだろう。民主党は今後どう意見を集約するかが課題になる。出来るだけ早く取り組んでいく考えだし、朝鮮籍排除といった法案にはならないだろう」と述べた。
二木氏は「『地方も国政も連動している』「参政権ほしければ帰化すればいい」との自民党内の意見は相当根強い。公明党と民主党が手を結ぶことがカギ」と語った。
辛さんは「政治家に大切なのは『不幸せにならないシステム』を作ること。当事者の在日を入れて法案を作るべき。朝鮮籍を排除するという分断を作り出す法案は論外」と強調した。
陳さんは「日本社会は今後外国人が急増する。日本の社会統合ビジョンを考えるなら定住外国人の地方参政権は認められるべき」と主張した。
地方参政権は早期実現で意見が一致したが、国政参政権では、意見が分かれた。
辛さんは「日本は在日の歴史を根本的に見つめ、外国籍のままで国政も認めるべき」と発言、これについて白議員は「地方参政権はともかく、国政は外国籍では難しい。在日の歴史的経緯はあっても、まず地方参政権から入るべき」と主張した。
これに対して辛さんは「二重国籍や生地主義の考え方もあっていいい。私が私のまま、弱者が弱者のまま生きられる社会、帰化をというなら権利帰化とすべきだ」と述べた。
白議員は「国会議員にはこの問題に無関心な人が多い。また私には差出人不明の嫌がらせメールがよく来る。そういう現実の中では半歩ずつ進む忍耐が必要」と述べた。
二木さんは「参政権は国民の権利とある現行憲法の15条、93条をどう変えていくか考えないと国政の話は難しい。EUのようなアジア共同体作りも視野に入れる必要がある」と語った。
最後に陳さんは「自分は本名を使うことで在日を日本社会に認知させようと企業活動してきた。そういう活動の延長に参政権があると考えている。自分たちの後輩がより活躍する社会とするために、参政権を獲得したい」と訴えた。
白議員は「若手の新人政治家も輩出してきている。国会も変わっていくはず」と述べた。
辛さんは「被害者が声をあげなければ加害者か変わらない。私たちが歴史のトゲなら、トゲとして生き続けたい」と語り、二木さんは「この問題を報道し続け実現への力になりたい」と締めくくった。
会場からは、「在日の問題であると同時に日本人へのメッセージと受け止めた」「在日の人たちがどの国の国政にも参与できないのはおかしい」「日本政府が参政権を認めないのは差別意識から来ていると思う」などの声が日本人から寄せられた。
在日コリアンからは、「白さんにはルーツを同じくする国会議員としてがんばってほしい」「法案作成の場に在日が関与するにはどうすればいいのか」「届け出制で日本国籍取得が認められるようになってほしい」などの意見が在日から寄せられた。
LAZAKが主張する「二級市民からの脱却」をどう実現するのか、在日の政治参与についての議論はまだ始まったばかりであり、今後、在日内部の意見一致、日本の憲法改正問題、在日のアイデンティティーなどの議論と具体的方策の提示が課題となる。