第2回韓日言論人ワークショップ「東アジアの平和構築と韓日ジャーナリストの役割」が19日、東京の日本プレスセンターで行われた。主催は韓日社会文化フォーラム。第1部では、日韓相互認識における言論報道の問題点について、両国言論人の間で論議された。
基調報告を行った下川正晴・毎日新聞編集委員(元ソウル特派員)は「ナショナリズム自体を悪とはいえないが、自国中心主義を煽る報道は慎むべき。来年の日韓友情年に2001年の教科書問題の再燃があっては困る。ただ、教科書問題に際しては、作る会の教科書の採択率がわずか0・039%にすぎないことも知っておくべきだろう。今後の報道のあり方としては、できるだけ中心人物に直接インタビューするなどして間接報道から脱するべきだ。日韓関係を悪くするのは政治家とマスコミだという言い方がある。これを直したい」と話した。
黄永植・韓国日報論説委員(元東京特派員)は、「世論調査によると韓国人の対日感情が良くない。だが、専門家やオピニオンリーダーは、大切な国に日本をあげる人が多く、一般人と専門家らの対日認識にかなり違いがあるようだ。これは、一般人の認識が報道により形成される場合が多いからだ。例えば、韓国のプルトニウム開発に対する日本の過剰報道をみて嫌うケースもある」として、「いま韓中日で民族主義強化の傾向がある。表現の仕方にも、ウリ(私たち)民族、ウリ政府などとウリを使うよりも韓国に改める方がいいのではないかと思う」と語った。
小針進・静岡県立大学助教授は、「日韓関係に及ぼすマスメディアの影響は大きい。例えば、2001年の教科書問題の時の対応で、セマウル号に日本人乗客お断りの張り紙が出たが、『そんなバカなことをやるな』とネチズンが猛反発した。また、2002年ワールドカップ大会の日本対ベルギー戦で日本に対して大ブーイングが起こったと日本で報道された。しかし当時、私はソウルにいたがそんなことはなかった。市民は比較的冷静であり、メディアが政権との関係に報道を利用することがあってはならない。いまは若い女性の間で韓国への関心が高く、大学で韓国社会論を教えているが、講座を受けている40人中39人が女性だ」と話した。
増田明男・フジテレビ解説委員(元ソウル特派員)は、「テレビ放送に関しては、88年のソウル五輪前に生中継がようやく可能になり、現在のようにソウルとライブで直接やりとりできるようになったのは90年代に入ってからだ」と述べ、最近の韓流については、「50代の女性という、これまでとは全く新しい層が韓国ブームの担い手として登場している。20年前には全く予想だにしないことが起きており、新しい相互認識が始まっている」と強調。
在日2世の鄭大均・都立大学人文学部教授は、「反共国家の性格が弱まったが反日国家の性格はむしろ活性化したのではないか」と指摘し、「北朝鮮と一卵性双生児のような関係にある韓国の核開発計画に日本マスコミが関心をもつのは当然ではないか」と反論した。
若宮啓文・朝日新聞論説主幹は、「日韓関係は、微妙な問題でもざっくばらんに論議できるほど成熟した。最近の動きでは親日派糾弾法案が心配だ。誤解の余地を与えないためにも「『親日』の文字はとれないものだろうか。いまの時代はかつてと違い必ずしも膨脹的なナショナリズムとはいえない」と語り、鄭求宗・東亜ドットコム社長は、「来年の教科書検定に関しては、韓国側も正確に判断できるように」と資料公開を求めた。