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2004/07/23

<在日社会>最終段階に入った合併・統合

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    韓信協第53回通常総会であいさつする洪采植会長

 在日韓国人信用組合協会(韓信協)は21日、都内で第53回通常総会を開き、来年4月のペイオフ(預金・利子の保証上限を1000万までとする措置)凍結完全解除に備え、経営基盤安定のため加盟前組合を対象にした合併・統合のスキームを確定することを決めた。だが、総会前日に近畿産業信用組合から突然の韓信協脱会通告があり、同組合が抜けた場合を想定して合併構想を練り直す必要が生じてきた。

 総会の冒頭、洪采植会長(横浜商銀理事長)は、「日本経済に景気回復の兆しがみえているといわれるが、サービス業を主たる産業とする在日同胞経済はなお厳しい状況だ」と指摘、会員組合の合併問題について現在までのところ具体的進展はないが、8月から施行される「合併促進法」(金融機関に予防的に公的資金を機動的に注入する金融機能強化法及び改正預金保険法)の適用も視野に入れて合併を積極的に進めていくと強調した。金融当局はこの法施行に合わせて最大2兆円の資金を投入する用意があるといわれ、環境的にも合併を推進しやすくなっている。

 韓信協加盟組合の合併・統合問題は最終段階に入っている。会員組合の相次ぐ経営破綻をへて、合併を実現したあすなろ信組やあすか信組などが誕生、現在11になった。だが、その後の合併交渉は各組合の内部事情もあり順調に進んでいない。長崎、佐賀商銀と近畿産業信用組合との合併交渉も2年近くになるが、いまだに具体化していない。だが、ペイオフ完全解禁まであと8カ月しかない。

 今回の総会で、合併・統合基本スキームを早期に確定することを決めたのは、現状のままで各組合が生き残るのは困難との認識があるからだ。だが、突然の近畿産業信組の脱会通告で在日同胞が最も多い近畿圏がこの構想からぽっかり抜け落ちる恐れが出てきた。

 洪会長も総会後の会見で、「全国1つにするのですか関東、近畿の2つですか」と記者の問いにも言を濁した。

 総会ではまた、韓信協が要請している300億円の本国支援金問題が大きなテーマになった。洪会長は「在日社会に安心感を与えるためにも本国の関与が必要だ」と訴え、来賓のあいさつを行った金宰淑・民団中央本部団長も「本国が逃げたとみたら来年のペイオフ克服は困難になるかも知れない」と本国政府の積極的な支援を求めた。

 羅鍾一駐日大使が韓日首脳会談で不在のため、朴承武経済公使が参席、経営透性、自己資本充実化を改めて求め、本国政府としても民族金融機関の発展を支援すると表明したが、300億円に対する具体的言及はなかった。

 韓信協としては、これだけ支援しているのですよという本国政府のアナウンス効果を期待しているのだが、支援が具体化しない場合に備えての対策も講じるとしている。現在、加盟組合合計の預金量は1兆円を超えており、在日企業への大きな資金供給源になっているだけに、今後の対応が注目される。

 韓信協加盟組合の中で最大手の近畿産業信組(兪奉植会長)が韓信協総会前日の20日、脱会を突然通告してきた。総会でもこの問題が論議され、再度執行部が慰留を働きかけることになった。

 だが、近畿産業信組は同日の理事会で機関決定したといわれ、決定が覆されるのは容易でないとみられている。

 総会で発表された内容によると、脱会理由は①互助金の取り扱い銀行を新韓銀行以外に変更してほしい②近畿産業信組の協会分担金をゼロにするか未定にしてほしい③預金が5000億円あるので議決権を1票でなく49評ほしい―というもの。これを協会側が受け入れなかったため脱会という強硬手段に訴えたようだ。

 総会では、近畿産業信組と合併交渉をしてる長崎商銀などから慰留をすべきだという声が出されたが、「全く自分勝手であり、協調性が皆無」と批判する声も出た。

◆近畿産業信組とは◆

 「京都シティ信用組合」が2001年信用組合大阪商銀を事業し、名称を「近畿産業信用組合」に変更。2002年5月信用組合京都商銀を事業譲受。同6月信用組合関西興銀を事業譲受し、本店事務所を大阪市天王寺区に移転。現在出資金152億円、組合員1万8495人、店舗数32。営業区域は大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県、岐阜県。