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2004/06/25

<在日社会>金融庁が近畿信組に経営責任問い業務改善命令

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    情実融資が厳しく批判された(右から2人目が兪会長)=2002年5月、京都支店開設時

 近畿産業信用組合(兪奉植=青木定雄=会長、(写真右から2人目)大阪市天王寺区)が18日、近畿財務局から業務改善命令を受けて、7月20日までに業務改善計画書を提出することになった。一部役員の要請による不適切な融資など、経営管理態勢、内部管理態勢に重大な問題があるとの指摘を受けたもので、在日社会からは、「旧関西興銀の轍を踏むことなく、早急に改善してほしい」などの声があがっている。

 近畿産業信組に対し近畿財務局は18日、一部役員の要請を受けて不適切な投資をしたなどとして、理事会の機能強化などを求める業務改善命令を出した。近畿財務局が同信組に対する調査を行ったのは昨年5月から6月にかけての2カ月。今年3月に検査結果が出たのを受けて、業務改善命令を出したものだ。

 同日行われた同信組の記者会見および関係者の証言で明らかになった問題点は大きく4つある。

 ◆第1は営業が認められていない地区に本社がある企業に対し、兪奉植=青木定雄=会長らの指示で3000万円を融資し不良債権化したこと、◆第2は名義を分散する手口で特定の企業に融資限度額を超える貸付を行っていたこと◆第3は2002年4月から1年3カ月間、大口預金者の同信組理事(当時)の普通預金金利を通常より高く設定したこと。◆第4は、交際費名目で一部の役員が支出した祝儀が多すぎる点である。兪会長が韓国の国民勲章「無窮花章」を受けた時、その祝賀会の費用1000万円が近畿産業信組から出されたともいわれている。

 ほかにも各店舗の役員車と運転手は兪会長がオーナーを務めるMKグループからの派遣社員であり、さらに店舗の清掃やエアコンのメンテナンスなどもMKグループに委託するなど、MKグループへの委託業務が突出している状態だ。

 このうち第1の問題点について八田同信組理事長は、「登記上は大阪に支店があったため融資を行った。しかし実際には営業実態がなく、区域外融資にあたると指摘された」と説明。兪会長は「私が頼まれて『法的に問題がなければ』と融資を指示したが、検査時には私の金で弁済した」と釈明した。さらに「何も知らないから金融庁に尋ねてやってきた。冠婚葬祭もそれ相応の支出の必要がある」などとして、財務局の指示に不満を見せた。

 兪会長はさらに、「改善命令を受けたのは私の不徳の致すところで残念です」としつつも、「3000万円は私個人で補てんしたので責任はついている」として会長職にとどまる決意を示した。

 多額の不正融資問題を起こして経営破綻した旧関西興銀は、経営陣のワンマン体質に大きな問題があるとされた。その旧関西興銀などの事業を譲り受けた近畿産業信組は、クリーンな経営体質を求められ、同信組自らも体質改善を約束していたはずだ。それが旧経営陣と同じようなワンマン経営を指摘されたわけで、社会に与えた影響は大きい。

 改善命令によると、役員の法令遵守意識の徹底や経営姿勢の明確化、理事会の機能強化、監事機能充実・強化についての改善計画を7月20日までに提出し、以後3カ月ごとに実施状況を報告することになっている。

 近畿産業信組の経営エリアには在日韓国人28万人が居住している。これは日本に住む在日韓国人61万人の46%にあたる数字だ。その同胞多住地域の金融機関として、経営陣は今回の指摘を重く受け止め、納得できる改善計画を提出する重い責任がある。

 来年にはペイオフ全面解禁が予定されており、金融機関の生き残りが厳しくなる中、これが最後のチャンスというぐらいの覚悟を持って取り組む必要があるだろう。

 さらに兼任違反の恐れがある。信用組合の経営者は、法的に他の企業経営を禁止されている。兪会長はMKグループのオーナーということだが、実質代表権を持っていることは、MKグループの京都路線バス参入問題で発言していることにも表れている。この問題についても兪会長は、はっきりさせる必要がある。

◆ 近畿産業信組とは ◆

 1953年、芸術家、芸能家らの職域信用組合として京都市下京区内に「日本芸術家信用組合」を設立。64年名称を「日芸信用組合」に変更。89年本店事務所を京都市中京区に移転し、名称を「京都シティ信用組合」に変更。92年本店事務所を下京区に新築移転。2001年信用組合大阪商銀を事業譲受し、名称を「近畿産業信用組合」に変更。2002年5月信用組合京都商銀を事業譲受。同6月信用組合関西興銀を事業譲受し、本店事務所を大阪市天王寺区に移転。現在出資金152億円、組合員1万8495名、店舗数32、営業区域は大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県、岐阜県。