在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の第20回全体大会がこのほど、東京・北区の東京朝鮮文化会館で開かれた。「組織と同胞社会の前には依然として困難が立ちはだかっている」と厳しい情勢を認めた上で、総連を「新しい世代を主役とした運動」「幅広い同胞運動」に転換するとの方針を打ち出したが、当面暗中模索が続きそうだ。
第19回全体大会(2001年)以来3年ぶりの大会は、2000人の代議員が出席し、取材を厳しく規制する中で行われた。
「2002年9月以後の急変する情勢に対処できなかったことによって、結果的に同胞たちの不安と苦痛を拭えず、同胞たちから総連組織に多くの意見が提起された」「総連結成以来の過酷な事態が起きた」
徐万述中央議長の大会報告には、総連結成以来最大といわれる危機を迎えたことへの苦渋がにじみ出ている。
しかし、厳しい環境を乗り切るために「前例のない厳しい闘い」を行ったと述べながらも、北の拉致事件や核問題については、はっきりと言及がなされなかった。それについて大会後、総連関係者などから「不安な思いで、子どもを毎日学校に通わせている。いまの危機をどう認識しているのか。同胞、そして日本社会の不安、不信を取り除くには不十分」などの声があがっていた。
活動方針として大会で強調されたのは、同胞社会の変化への対応だ。
「同胞たちの間で世代交代が完全に進み、今では3、4世たちが在日同胞全体の過半数を超えるようになった。そして在日同胞の数が減少し、その中でも特別永住者が2002年には48万5000余人になった。日本国籍取得者と『国際結婚』が増え、同胞社会が多層的で複雑な様相を帯びるようになって、従来にはなかった深刻な問題が提起された」との認識を示した。
さらに「同胞数が激減する中で、朝鮮学校の生徒数は減少し、総連の会員数と出版物も減少している」と報告したうえで、総連組織の世代交代と同胞生活に焦点をあわせた活動に、力を入れていく必要があるとした。
具体的方針として、第21回全体大会までの3年間に、①民族教育事業の強化発展②民族性を守る事業③同胞生活奉仕と経済生活支援④民族的権利を擁護拡大、の4点を強調した。
この間、総連内部では、北追随を優先して同胞の生活支援が不十分だったとの批判が強く起き、前回大会から同胞生活支援を優先順位にあげていたが、それをさらに促進することを決定したものだ。
43歳の高徳羽・同胞生活副局長を兼任で副議長に昇格させたのは、世代交代と同胞生活重視の象徴的人事といえる。同胞商工人の厳しい経済状況への対応も話された。
来年は総連結成50年。総連は5月を記念月間にして様々な催しを予定している。歴史研究所も設置する計画だ。
しかし、「本当に組織を変えたいなら、抜本的に変えなくては」「もっと会員の意見を聞くべき」「同胞社会の多様なニーズにどう応えていくのか」「民主的な体制作りが必要」などの声が噴出する中、信頼回復に向けどう活動を進めていくのか注目される。