在日韓国婦人会中央本部(夫順末会長)の2005年度全国大研修会関東地区が、4日から6日にかけて栃木県の鬼怒川ホテルニュー岡部で行われた。関東地区の婦人会会員、関係者、講師など約380人が出席し、在日社会を取り巻く現状、婦人会の役割などについて話し合った。
4日に行われた開会式には羅鍾一・駐日韓国大使夫妻も駆けつけ、「婦人会の活動にはいつも敬服している。在日の子どもたちに民族の文化を伝えるのに、オモニ(母)たちの力はとても大切。子どもたちの韓国語教育に力を入れてほしい」とあいさつした。
5日は作家の朴慶南さんらが講演。朴さんは、関東大震災時の朝鮮人虐殺で自分の祖父も巻き込まれそうになった話など、在日についての経験思いについて語った。そして、「子どもたちの犯罪事件が起きているが、自尊感情がなくなると、人の命も粗末にする。子ども達に自尊心を持つことを伝え、そして、ありのままの自分でいいよ、あるがままに子どもたちを受け入れることが必要」と述べた。
午後の部では在日の李宇海弁護士が、「分かりやすい法律」と題して、在日コリアンをめぐる法律の諸状況について説明した。質疑応答では、韓国人と日本人の婚姻、離婚の時の手続き、遺産相続などについて質問が相次いだ。
次に韓国人の父と日本人の母を持ち、昨年の参議院選挙で初当選した民主党の白眞勲議員が壇上に立ち、大学院を優秀な成績で卒業しながら就職先が無く民族差別を実感したこと、韓日関係に貢献しようと考えて朝鮮日報日本支社に就職したことなどを語った後、「定住外国人の地方参政権獲得など在日の人権のために今後も努力したい」と強調して、会場から大きな拍手を浴びた。
最後に在日3世の落語家で、韓国をテーマにした落語に挑戦している笑福亭銀瓶が急ごしらえの舞台に立ち、冬のソナタなどを題材にしながら一席語ると、会場は爆笑の渦となった。
◆歴史教科書採択問題で要望書提出◆
婦人会中央は、全国大研修会の各開催地にある市町村の教育委員会に、「歴史教科書の採択に関する要望書」を提出している。5日は栃木県日光市、今市市、藤原町の3教育委員会に提出した。
要望事項は①管内の中学校が2006年度から使用する教科書の採択に際し、望ましい歴史認識に基づいた歴史教科書を採用すること②偏った歴史認識に依拠する『新しい歴史教科書』(中学校用・扶桑社版)を採択しないこと③教育委員会で各教科書を比較検討するときに、教育現場の教員らの意見や学校OBの声をできる限り反映すること、となっている。
◆「尊敬される在日に」 夫順未・婦人会中央会長◆
私たちはいままで以上に日本社会の中に入り、日本の人たちとともにより良い地域社会を作っていく必要がある。
そうした活動の中で在日韓国人に対する尊敬の念を持ってもらうことが、子や孫の世代が日本で堂々と生きることにつながると確信している。
例えば地域にある老人ホームを慰問し、韓国の文化に触れてもらうとか、地道な活動を続けていきたい。21世紀の共生社会をどう作っていくか、その認識を強く持ってもらうための研修会にすべく取り組んでいる。
また各県本部が自主性を高めてほしいので、来年の研修については、各地方ごとにいまから準備を進めてもらっている。