韓日友情年記念イベント「韓・日文化交流の集い」(韓国文化院主催)がこのほど、都内のホテルで開かれ330人が出席した。第1部で韓日文化交流事例発表会。第2部では韓国文化公演が行われた。
あいさつに立った羅鍾一・駐日韓国大使は、「韓日友情年の今年、多数の交流事業が各地で行われた」と文化交流拡大への期待を示したが、「本当の友情の意味を改めて考えさせられる出来事も頻繁に起こった」と述べて、良好な韓日関係を築くには課題が残されていることを訴えた。
河合隼雄・文化庁長官は「(公式に把握しているだけでも)700件以上の韓日文化交流事業が行われた。文化庁も韓国で浄瑠璃上演や日本映画祭開催などの事業を行ってきた。来年以降も交流事業に積極的に取り組みたい」と語った。
確かに韓日文化交流は飛躍的に拡大し、非公式の交流事業も加えれば、全国で1000以上行われている。昨年来の韓流ブームで韓国旅行者や韓国語学習者も以前とは比較できないくらい増えた。「冬のソナタ」「宮廷女官チャングムの誓い」などのヒットで、日本のお茶の間に韓国文化が入る効果もあった。
しかし一方で羅大使が述べたように、独島(竹島)の領有権や小泉首相の靖国神社参拝問題などで、政治的には冷却状態だ。韓日関係を今後どう作り上げていくか、グローバルかつ長期的視点での対応が求められる。
◆福島で韓日交流 鄭玄実 ふくかんネット代表◆
ネット代表5年前から福島で暮らしている。韓国語を教えるところが1カ所もない、大学や高校でも韓国語を学ぶ機会がない、県の国際交流事業も欧米中心で、韓国料理や韓国食品を買うことさえ難しかった。国際交流協会で市民向けの韓国語講座を開設し、予想以上に高い関心に驚いた。
福島と韓国の距離を縮めるために、市民が韓国のことを知るためのネットワーク作りが大切と考え、仲間たちと「ふくかんねっと」(福島県韓国語・韓国文化ネットワーク)をつくった。会員は現在150人いる。「国際交流」「異文化交流」に自然体で貢献したいと考えている。
◆地域交流大切に 吉川寿明 鳥取県庁国際課長◆
江戸時代末期、嵐で漂着した朝鮮の商船の乗組員12人を助けた。92年に難破船の船長の子孫探しを始めたことで、鳥取県と韓国・江原道との交流が始まることになった。
94年に友好協定を締結し、数多くの市町村や学校、民間団体などが韓国側と交流を行ってきた。
今年に入っても交流事業が進められてきたが、3月の竹島(独島)問題で、鳥取県と江原道の行政交流は残念ながら中断している。
地域間交流は(外交とは別次元の)顔と顔の見える交流だ。行政と民間がそれぞれの役割のもとで、韓国との交流が発展するよう努力していきたい。
◆韓国文化に魅了 小川純子 NHKプロデューサー◆
韓国ドラマ「冬のソナタ」は、視聴者から大きな反響を呼び起こし、社会現象といえるブームを巻き起こした。「気持ちの素直な表現」が見られる韓国ドラマが、懐かしく魅力的に映っていたからと思われる。
昨年からは歴史ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」の放送を始めたが、この番組は新たに「男性」と「若年層」も加わった。韓国ドラマの放送だけでなく、制作時のエピソードや時代・文化・風習などを紹介する特集番組も制作・放送している。視聴者は韓国の哲学・歴史・文化にも魅せられた。韓国を理解する最良の道具に、テレビドラマがなっている。