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2005/12/02

<在日社会>4日から人権週間・在日の無年金者救済を

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    未来を担う在日青年のためにも人権問題の解決が必要(写真は民団大阪で1月に行われた在日成人式)

 4日から10日は人権週間。人権尊重の社会をつくるため、各地で啓発活動が行われている。在日の人権はいまどうなっているのだろうか。

 在日無年金者の問題は依然残されている。京都に在住する在日の無年金障害者7人が、「国民年金制度の発足当時から国籍要件を理由に支給対象から排除されたのは、日本国憲法、国際人権規約に違反している」と訴えていた裁判で、10月末に大阪高裁は棄却判決を言い渡した。判決は「立法府の裁量であり、著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるを得ないような場合を除き、違憲・違法とならない」と、第1審よりも後退した判断を示した。

 原告や支援者からは、「人権を無視した恥ずかしい判決」と怒りの声が起きた。

 障害福祉年金の対象外とされて無年金で放置され続けた在日障害者救済のため、在日組織、日本の市民団体、弁護士などは日本政府、国会、自治体などに要望活動を続けているが、これまで約600の自治体で特別給付金が支給されたほかは、救済措置が講じられていない。

 在日韓国人高齢者の無年金問題も同様に深刻である。老齢福祉年金に準じた給付が、在日高齢者に行われることが、早急な課題として望まれる。人権週間のテーマの一つが「外国人の人権を尊重しよう」。その中でも生活習慣の違いなどを理由にしたアパートやマンションへの入居拒否が、大きな問題とされている。先日も大阪で在日3世の女性弁護士、康由美さんが外国籍を理由にマンションの入居拒否にあい、家主、それに監督責任のある大阪市を提訴している。

 政治に自らの意思を繁栄させるための「政治的権利」の取得も課題だ。永住外国人への地方選挙権付与法案がこの間、国会に提出されているが実現のメドは立っていない。一方で日本国籍取得の問題も出ているが、これも論議が進んでいない。在日コリアン弁護士協会の高英毅弁護士は、「政治的権利の制限は何より大きな人権問題。在日社会はこの問題でもっと声をあげなければいけない」と主張する。

 民族教育権、民族学校の法的地位問題や、立ち退きを迫られている京都のウトロ地区や東京の枝川など、戦後処理の未解決問題もある。

 先月7日には、国連人権委員会のドゥドゥ・ディエン特別報告者(セネガル)が、国連総会第3委員会(人権)で報告し、「日本では在日韓国・朝鮮人、在日中国人、アイヌ民族、アジア・中東・アフリカから来た人たちへの差別などが残っている」として、人種差別禁止法の制定を訴えた。ディエン氏は7月に来日して実態調査を行っており、来春の国連人権委員会では日本への具体的な勧告を盛り込んだ報告書を提出する予定だ。在日社会や人権団体などでも外国人人権基本法の制定を求める動きがある。日本政府の早急な対応を求めたい。

◆人権週間とは◆

 国際連合は1948年の第3回総会で世界人権宣言が採択されたのを記念し、1950年の第5回総会で、世界人権宣言が採択された12月10日を人権デーと定め、すべての加盟国にこれを記念する行事を行うよう呼びかけている。日本では1949年から12月10日を最終日とする一週間を人権週間と定め、各種行事を行っている。