在日韓国・朝鮮人学生向けの今年度奨学金募集が始まった。同胞企業の不況が続く中、奨学金を支給する団体も運営に苦労しながら活動を続けている。朝鮮奨学会、韓国教育財団、在日韓国奨学会の3団体で今年度約2000人、支給額は総計4億1696万円になる。
財団法人朝鮮奨学会は2005年度高校・大学・大学院生の奨学生を募集している。日本の各高等学校に在学している韓国人・朝鮮人学生(韓国籍・朝鮮籍)で成績優良(原則として平均値3・0以上)で学費の支弁に困っている者が対象だ。在日家庭も不況のため、この数年は応募者が増えているという。
東京と関西に所有するビルのテナント料で奨学金事業を行っているが、この間収益金が伸び悩み、2004年度から高校生の募集人数を前年の1050人から1000人に、大学・大学院生を750人から700人に減らしている。今年度は高校生1000人、大学・大学院生720人の予定で支給総額3億6000万円。
同奨学会は1943年、日本政府から公益事業をする「財団法人朝鮮奨学会」としての認可を受け、57年に所属団体や思想・信条の違いなどを超越し、在日同胞が一致団結して理事会を再建した。その後は日本の学識経験者とともに理事会、評議員会を結成して今日に至っている。
大学・大学院の奨学生は61年からの本格的な奨学金給付事業の再開以来約2万3000人、高校・高専の奨学生は66年以降で約3万6000人になっている。奨学金事業の総額は100億円を超えている。会報誌の発行や韓国語講座、文化講演会なども取り組んでいる。陛03・3343・5757。
在日韓国奨学会(徐龍達理事長)は1956年に設立。近畿地区の大学に在学する韓国籍学生で、本名の常用学生または、奨学生決定後本名を常用する意思のある者を対象に、奨学金支給を行っている。これまで約900人に支給してきた。
在日韓国人有志の寄付で運営され、今年も近畿2府4県より15人を予定している。同会も不況の影響で、以前は30人前後だった奨学生を15人に減らした。支給総額540万円を見込む。来年8月25日に創立50周年を迎え、記念イベントと本の出版を計画している。
徐理事長は「大学生の時に育英会の奨学金をもらおうと思ったが、韓国籍を理由にことわられた経験がある。同胞学生のためにと大学4年の時に、友人とともに創立した。半世紀続いたのは感無量だ。今後も同胞社会のために継続していきたい」と話す。
今年度の奨学金は28日まで募集中。陛06・6372・2311。
韓国教育財団は財団法人韓国教育財団(徐東湖理事長)は、在日韓国人の教育を支援するために63年に設立された。73年に日本の文部省(現在の文部科学省)の特定公益増進法人の認可を受け、在日韓国人の協力と韓国政府の支援で運営してきた。
これまで支給された奨学金は約12億3000万円、奨学生は約8000人になる。
厳しい経済状況下、個人の寄付が減ったこと、金融機関の低利率などで財団の収入が減り、賃貸事業で収入を補っている。以前は高校・大学とも100人以上支給していたが、今年度は大学生80人、高校生70人を予定している。
支給対象は①在日韓国人で、日本の各高等学校(在日韓国学校含む)・大学に在学し、永住権を保持する者、もしくは日本の正規教育過程を修了した者②日本の大学に在学し、韓国学を専攻する日本人学生に該当し、成績優秀でありながら学費の支弁が困難な者、③MBA課程で米国のトップビジネススクールズ20位以内に該当する大学の在学者および新入生である。③は2年前から始めた。この間対象者がいなかったが、今年度は1人予定している。
今年度支給総額5156万円を予定。応募は5月開始。陛03・5419・9171。他の奨学団体も募集を始めている。