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2005/03/25

<在日社会>格闘技にコリアン旋風

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                     秋山 成勲 選手

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                     洪 昌守 選手

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                     金 岷秀 選手 

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           曙を破った崔洪万選手(右)

 柔道、シルム(韓国相撲)などを経て格闘技の世界で生きようとするコリアン選手がいる。K-1の秋山成勲(写真・上右)、崔洪万(写真・下)、金ミンス(写真・上左)らだ。またボクシングの洪昌守(写真・上中)のように再起を誓う選手もいる。彼らの話題を追った。

 シルム(韓国相撲)異種格闘技に転身し、3カ月の猛特訓を経て10㌔減量した崔洪万(25)は、ソウルで19日に行われたデビュー戦、K-1ワールドグランプリで日本の相撲出身の若翔洋、曙を破った後、決勝戦でタイのムエタイ選手ガオグライと対戦、延長までもつれ込む接戦の末に判定勝ちし、デビュー戦で見事初優勝した。

 崔はLGに所属するプロシルムの看板スターだったが、韓国でシルムの不人気が続き、チームが解散した昨年12月にシルムを引退しK-1入りを表明していた。

 崔は6月のK-1戦に出場予定だが、在日の格闘王・前田日明(46)から、彼が立ち上げた新総合格闘技イベント「HERO'S」に勧誘されるなど、注目が集まっている。

 その「HERO'S」が26日にさいたまスーパーアリーナで行う試合に出場するのが、柔道の2003年世界選手権81㌔級代表の在日4世、秋山成勲(29)だ。

 秋山は韓国に渡り、釜山市役所に勤務しながら柔道を続け、2000年には韓国代表も経験している。日本代表を目指し2001年9月に日本国籍を取得した。

 昨年プロ柔道家に転向し、2004年12月31日に「K-1Dynamite」でデビューし、元ボクシングIBF世界王者のボタと対戦、腕ひしぎ逆十字固めを決めて1回1分54秒で勝利した。
 
 そして26日、新格闘技イベントHERO'Sにメーンで登場し、K-1ヘビー級戦士のジェムロ・レバンナ(32=フランス)と対戦する。レバンナは身長12㌢、体重35㌔の差がある大型選手だが、秋山は得意の寝技に持ち込んで勝負する予定だ。デビュー2戦目でメーンをまかせられるほど信頼が厚く、白熱した試合が期待される。

 この大会にはまた、96年アトランタ五輪柔道の銀メダリスト、キム・ミンス(30)も出場する。K-1デビュー戦となるキムの相手は、K-1最高の人気スター、ボブサップだ。キムは「ボブ・サップと戦うことは光栄。勝つ自信がある」と決意を語っている。

 一方、ボクシングの洪(徳山)昌守は、7月18日にタイトル再奪取の夢をかけて再び川嶋勝重(30=大橋)に挑む。両者は過去に世界戦を2度戦っており、2003年6月に行われた初対決では洪選手が3対0の判定勝ちだったが、昨年6月の対戦では1回TKOで敗戦、9度目の防衛に失敗しチャンピオンの座を譲っていた。

 一度は引退を考えたが、「自分にはボクシングしかない」と復帰を決意していた。
 
 洪は東京出身の在日3世。東京朝鮮高級学校ボクシング部を経て大阪の金沢ジムに入り、94年にプロデビュー。2000年8月27日、WBC(世界ボクシング評議会)世界スーパーフライ級タイトルに挑戦、韓国のチョ・インジュを破って、タイトル奪取に成功した。
 
 またコリアンの出自を明らかにした数少ないボクシング選手ということもあり、在日社会の星と評された。