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2005/03/18

<在日社会>伝説の名画「アリラン」再映画化作を日本上映

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         李斗鏞監督によるリメイク版『アリラン』のワンシーン

 日本植民地時代の民衆の悲しみと抵抗をテーマにした1926年の映画『アリラン』は、羅雲奎監督によって制作され、韓国映画史上普及の名作とされているが、そのフィルムは残念ながらいまだ発見されていない。この『アリラン』のリメイク版が韓国で作られ、韓日友情年の今年、日本で上映される。愛知万博でも上映予定だ。

 アリランの由来は、古代韓半島で水を求めて河川に定住した人々が、阿利那(アリラ)=長い水の意=の文化を生み、それが韓民族の信仰と文化となって発展し、いつしか「アリラン」の民謡となった説とか、朝鮮朝時代に景福宮の工事に連行された人々が、故郷の家族(娘)を偲んで「我離娘」と歌ったことから来たなどの話が伝わっている。

 歌は3・3・4調、3・3・5調の基本旋律で作られているが、韓半島の各地域によって違っており、現在100以上の旋律、3000種以上の歌詞があるといわれている。

 日本植民地時代の1926年、植民地の悲哀と抵抗をテーマにした羅雲奎主演・脚本・監督の映画『アリラン』が爆発的にヒットした。当時の新聞記事に「映画も泣いて、弁士も泣いて、観客も泣いて、劇場中が泣いた」という表現をしたくらい話題となったが、ここで歌われた民謡「アリラン」が韓国全土に広がり、植民地下の抵抗の歌として親しまれるようになった。

 しかし、映画のフィルムは、戦後の混乱とそれに続く韓国戦争の惨禍の中で行方不明となり、南北共に国をあげて捜索しているが、残念ながら現在まで発見されていない。大阪在住の阿部さんという人が持っているのではないかとの報道も最近あったが、確認はされていない。

 この歴史的な民族映画『アリラン』を再現しようと2001年、羅雲奎の生誕100周年をきっかけに制作が始まったのが李ドゥヨン監督のリメイク版『アリラン』である。2年後の2003年に完成し、同年5月30日にソウルと平壌で同時公開して大きな話題となった。

 このリメイク版が、在日2世の李チョルウ氏が代表を務めるKAC(コリア・アーツ・センター)によって、日本各地で上映されることが決定した。

 先立って行われた日本外国特派員協会での試写会は、外国人特派員に大きな関心を呼んだが、それに引き続き、5月11日からの愛知万博・韓国ナショナルデー、7月27~29日に東京・日比谷公会堂で行われる第1回アリランフェスティバル(同実行委主催)、そして8月には兵庫で上映される。

 李代表は、「羅雲奎さんは民族文化の象徴であるアリランを、映画と音楽で掘り起こした大変な功績者。その羅さんの精神を在日社会に伝えようと今回の上映会を企画した」として、「現在、南北ともに国歌はなく、『愛国歌』として歌っている。統一のために国歌はとってある訳だ。統一したら国歌はアリランになると私は信じている。そこにも思いを馳せながら、特に在日の若い世代に映画を見てほしい」と強調した。詳細は℡03・3376・3218(KAC)。