日本体育協会(体協)はこのほど、外国籍選手の国体参加資格を大幅に緩和することを決定した。それにより、これまで参加資格のなかった朝鮮高級学校の生徒も、入国管理法で定める「永住者」の資格があれば参加が可能になる。来年の兵庫国体から適用される。
現在まで国体における外国籍選手の参加は、学校教育法第1条に定める学校(小・中・高校、短大、大学)に在籍または卒業した永住者や、1条校に1年以上在籍している高校の留学生らに限定されていた。
朝鮮高級学校、インターナショナルスクールなどは同教育法で各種学校に分類されていたため、出場資格がなかったが、これで来年から出場できることになる。
体協は大学の留学生や就労外国人の家族についても、3年以上日本で生活し、1条校に一定期間在籍しているなどの条件で2010年から出場を認めていく方針を打ち出した。
高校の外国人留学生については、留学生の参加による一時的な強化がこの間目立っていたことから、逆に規制を強化することとし、1条校に1年以上在籍の条件を、参加年の4月1日現在で3年以上の在籍とすることにした。
1946年に始まった国体は、これまで日本国籍者しか参加を認められなかったため、甲子園で活躍した台湾国籍の王貞治投手、韓国国籍の新浦投手などが出場できないという事態を生んできた。王投手が仲間に混じって入場行進だけひっそりと参加したのは有名な話である。
外国籍選手についてはその後規約の改訂が行われ、81年に1条校に在籍する外国籍選手が許可されて第36回夏期大会から、中学生は87年に認められ第43回冬季大会から、大学生は90年に認められて第45回夏期大会から出場が可能になった。さらに97年には1条校に在籍していた社会人の参加が認められ第52回夏期大会からと、順次緩和されていた。そして今回の改訂で、在日韓国人についてはほぼ全面的に参加資格が得られたことになる。
戦後の荒廃の中でスポーツを通して青少年に勇気を与えようと始まった国体は、日本人のための大会というイメージが強かったが、日本社会の国際化、スポーツの国際化の進展の中で改革が求められてきた。外国籍競技者の参加についても、国際化の一層の進展が必要との声が強くなっていた。
◇スポーツライターの大島裕史さんの話◇
「国体の運営はいま曲がり角に来ている。永住外国人は地域住民なのだから、当然参加が認められるべきだ。朝鮮学校生は高校総体に出られるのに国体には出場出来ないといういびつな状態が続いていた。決定は遅すぎたくらいだ」