在日韓国民団中央本部(河ビョンオク団長)の2006年度前半期全国地方団長・中央傘下団体長会議が26日、東京・南麻布の韓国中央会館で開かれた。河ビョンオク体制となって初めての全国地方団長・中央傘下団体長会議で、「改革民団」に向けての方針が話し合われた。
会議の冒頭、河ビョンオク団長は「改革民団の道を歩み、新しい民団を創り出そう」とあいさつ。
特別報告では、河ビョンオク団長が団長選挙立候補時に公約としていた「民団の意識改革、開かれた組織つくり、財政的自立、在日同胞社会の和合と団結」を具体化するためのシンクタンクつくりについて報告が成された。
シンクタンクの名称は「在日同胞の未来を準備する政策会議」で、河団長の政策諮問機関として設置する。政策諮問会議は21人の委員で運営する予定で、現在、姜尚中・東京大学教授、李鍾元・立教大学教授、朴一・大阪市立大学教授などに打診中だ。
また同会議には組織改革、財政確立、大学誘致、地方参政権、福祉事業、文化芸術振興の6つの委員会を置く。発足は2006年4月26日で2009年1月31日までの約3年間を期限とする。このうち大学誘致については、すでに韓国の延世大学、高麗大学に相談中とのこと。
次に創団60周年記念事業について報告が成された。民団は1946年10月3日に創団、今年10月に60周年を迎える。「改革民団」にふさわしい記念行事として、まず10月21日に千葉の幕張メッセで2万人規模の記念式典を開くことが確認された。記念式典の第2部では祝祭として、韓流スターの公演、朝鮮通信使の行列、韓国食文化紹介コーナーなどを予定しており、在日同胞はもちろん多くの日本人を招いて多文化共生社会の一助とする計画だ。
この60周年記念事業推進のための実行委員会結成も決まり、金昭夫副団長が委員長に任命された。
さらに重点事業として民団改革を通じた組織再生が確認された。民団改革推進本部が同日付けで発足し、09年1月31日までを期限として戸別訪問活動を中心とする改革運動に取り組む。まず「改革民団120日間運動」を6月1日から11月10日まで行い、組織の活性化を図っていく。
在日同胞社会の和合と交流事業も重点事業としてあげられた。朝鮮総連をはじめとする意見と理念を異にする団体と和解・和合を実現し、一つの在日同胞共同体を建設していくために取り組んでいく。地方参政権獲得運動の継続推進も確認された。
◆改革は断行できるか◆
「改革民団」が26日、本格的にスタートした。組織改革、自立財政、組織のグローバル化、朝鮮総連との和合・交流などをスローガンに掲げて当選した河ビョンオク体制の真価が、これから問われる。
改革を行うためのシンクタンクが発足することになったが、21人の委員はまだ最終決定していない。在日社会はこの間、優秀な人材を輩出しているが、その人材をこれまで有効活用することは出来なかった。民団の枠を超えて、在日社会の発展につながるシンクタンクを構成してもらいたい。
自立財政の確立も民団改革の大きなポイントだ。河団長は、「(本国からの支援金を当てにしない)自立財政」を提唱してきた。それが4月11日に盧武鉉大統領を表敬訪問した折り、「支援金問題に対する格別な配慮と指導」をお願いし、「10億円への原状回復を求めた」と伝えられる。公約との矛盾はないのか。
さらに在日同胞社会の和合と交流だが、2000年6月に南北首脳会談が実現し、韓半島では南北和合が進んだ。しかし、それから6年を経ても民団と総連のトップ会談は実現していない。早急に会談を実現し、和合・交流の具体的道筋を在日社会に示してほしい。