在日韓国民団中央本部の新団長に「民団改革」を掲げた河ビョンオク氏(70)が選出された。6年前の団長選挙で敗れて一度は引退を考えたが、不死鳥のように蘇った河新団長。当選第一声は「これからは新しい民団に変わる」だった。だが、課題は山積している。若い世代が参加できる魅力ある民団にするには根本的な改革が必要であり、手腕が試される。
在日韓国民団中央本部の第49回定期中央大会は2月24日、東京・南麻布の韓国中央会館で開かれた。在籍代議員516人中500人が出席し、任期満了に伴う三機関長選挙が行われた。
また団員の声を広く反映するため、今回初めて取り入れられた選挙人(686人が郵送で投票、10票で代議員の1票に相当)の開票も同時に行われた。
その結果、団長は河ビョンオク候補が代議員284票、選挙人33票(325人の十分の一)で計317票、鄭進候補(68)が代議員215票、選挙人36票(359人の十分の一)で計251票となり、河候補が新団長に当選した(代議員の無効票1、選挙人の無効票2)。
議長は前監察委員長の金廣昇候補(73)が代議員254票、選挙人32票(316人の十分の一)で286票、前副団長の黄迎満候補(66)が代議員243票、選挙人37票(371人の十分の一)の280票という接戦となり、金候補が当選(代議員無効票2)。
監察委員長は前大阪地方本部団長の金昌植候補(68)が、代議員292票、選挙人42票(417人の十分の一)の334票、前東京本部団長の許孟道候補(66)が代議員203票、選挙人27票(270人の十分の一)の230票で、金昌植候補が当選した(代議員無効票1、選挙人無効票1)。
◆記者会見◆
河ビョンオク・新団長は当選後の記者会見で、「改革民団としてスタートを切る」と述べ、選挙戦でスローガンに掲げた「グローバル化された開かれた民団」づくりに本腰を入れると明らかにした。
政策的には、①生産性ある民団にするため政策研究するシンクタンクをつくる②在日の大学を設置するため、2つ本国大学を分校として持ってくる③在日諸団体の大同団結をしないと生きていけないと強調した。また、「民団改革のレールを敷いて、3年後には若い世代にバトンタッチする」と言明した。
金廣昇・議長は、①選挙制度を改革し②教育委員会を設置して人材を育成すると明らかにした。金昌植・監察委員長は、①地方参政権の獲得運動に全力をあげる②デイサービスなど福祉機能を強化すると強調した。
記者との主な質疑応答は次の通り。
◆改革の方向
現状維持の執行部ではなく、現状を打破し改革。官僚・権威主義をなくし、団員に奉仕する民団に。団員の声を聞き優しい民団にする。
◆シンクタンク
21世紀にちなみ、(組織の中核となる)21人のメンバーで21人委員会をつくる。また各分野で活躍する人材で構成するシンクタンクを構成し、政策機関の役割を果たす。
◆大同団結
総連をはじめ在日諸団体を糾合する。和解・和合、話し合いによる大統合をめざす。総連もニューカマーも韓民族であり、団長自らが訪ねて対話する。
◆在日大学
民族教育強化のため、本国の分校設置を任期内に必ず実現する。方法はシンクタンクで決定する。
◆世界韓民族
12年前の副団長時代に連合会をつくった。海外同胞700万人の求心体になれるように民団を強化する。
◆選挙制度
大勢の人が参加できる選挙制度に変えていく。(金廣昇議長=開かれた民団へと枠を拡大する。代議員制度の変更を含めて選挙の方法を変える)
◆日本国籍
グローバル化して、人の集まる民団に作りかえる。(金議長=日本国籍取得者には、団員資格がある。さらにニューカマーも入れて民団組織を拡大したい。総連も含めてだ)