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2006/01/27

<在日社会>韓国人留学生 故 李秀賢さん・尊い正義心を映画化

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    李秀賢役のイ・テソン(左)と他の出演者たち。韓国ロケは昨年12月に行われた

 2001年1月26日夕方、JR山手線新大久保駅で誤ってホームから転落した見知らぬ日本人を助けようと線路に飛び込み、ともに帰らぬ人となった故李秀賢(イ・スヒョン)さんの事故から満5年が経った。李秀賢さんの勇気を伝えるための韓日合作映画『あなたを忘れない』が、現在制作中だ。また26日には「偲ぶ会」が行われ、李秀賢さんの両親が参列した。

 韓日合作映画『あなたを忘れない』の製作プロジェクトは、韓日友情年の昨年発足した。「自己犠牲の精神で両国の懸け橋になった李秀賢さんの生涯を韓日両国民に伝えたい」との、関係者の熱意で進められた。

 李秀賢さんの母、辛潤贊さんの著書「息子よ!日韓に架ける命の架け橋」、在日のフリージャーナリスト康熙奉さんが書いた「あなたを忘れない」などを原作に、総製作費約5億円で映画化する。製作は映画『あなたを忘れない』プロジェクトで、監督は花堂純次氏が担当する。

 昨年11月に韓国でロケハンを行うと同時に記者会見を行い、映画化の意義と協力を訴えている。

 同プロジェクトでは、「映画のテーマは『共感』とした。韓日両国が共に共感する事と、共感を分かち合うことが映画の出発である。共同で制作する過程においてもこうした共感を分かち合いたい」と説明、「特に『無断外泊』というロックバンドのリーダーだった秀賢さんに焦点をあて、日本の路上ミュージシャンやインディのアーティストとの出会いを通して、純愛と音楽、韓日の若者文化の違い、家族観の違いなども絡ませながら描く事になる」としている。

 李秀賢役は韓国内でオーディションを行い、俳優のイ・テソンに決定した。韓国映画『サランニ』に出演し、大韓民国映画大賞新人男優賞にノミネートされた新鋭である。12月中旬にソウルや李秀賢さんの出身地の釜山でロケを行った。

 26日には都内で「故李秀賢さんを偲ぶ会(5周忌)が行われ、両親や韓日政府関係者、映画関係者、一般参列者による追悼式が行われた後、映画製作の現況について報告がなされた。

 辛潤贊さんは、「愛する息子が亡くなってから、もう5年という歳月が流れた。秀賢の26年という短い生涯を、大勢の協力によって映画化してもらえることに、戸惑いながらも、うれしさのあまり眠れない夜も過ごした。映画が息子の生前にかなえることの出来なかった韓日の懸け橋になることを期待する」と述べた。花堂純次監督は、「美しき魂のドラマを、永遠に語り継がれるであろう、その肖像を描きたい」と語った。

 主役のイ・テソンさんは、李秀賢さんが通っていた赤門会日本語学校への体験入学を2月に行う。7月に日本ロケを開始し、11月に完成。2007年春に韓日同時公開される。製作費確保のため、韓日で企業の協賛を得ると同時に、1万円プロデューサー運動もスタートする。詳細は℡03・6418・4980(製作プロジェクト)。