9日は成人の日。今年も多くの在日青年が大人の仲間入りをした。各地の在日新成人に話を聞いた。
◇スチュワーデスに 金沙鈴(キム・サリョン 神戸市立外国語大学)◇
成人になって決意を新たにしている。世界の動きに関心があり、また英語が出来るようになりたいので、国際関係学部を選んで進学した。
小泉首相の靖国神社参拝をめぐって韓国や中国との関係に問題が生じているが、なぜこうなったのか、その背景を深く知りたいと思っている。友人ともこの事で話をするが、正直関心の少ない人が多いので残念だ。
両親とも在日3世なので、私は4世になる。(3世だけれども)両親は韓国語を学んで、会話も出来る。私も話せるようになりたくて、大学で韓国語を学んでいる。
在日4世としての生き方についても考えることがある。両親から在日や韓半島の歴史について聞いたことはあるが、成人を機により深く勉強してみたいと思う。例えば日本から見た現代史だけでなく、韓半島や在日から見た歴史はどうなのか、世界からみるとどうなのか、知りたい。
子どもの時から本名で生活していて、通名は使っていない。それが当たり前の生活になっている。日本の学校にずっと通っていたので在日の友人はいなかったが、民団大阪の成人式に出席して、同年代の在日が大勢いるのだなと思った。また韓国料理屋でアルバイトをしているが、そこでも在日の友人が出来た。今後いろいろなことを語り合ってみたいし、在日の若者の集まりにも出てみたい。
日本の成人式にチマチョゴリを着て出席したが、私一人だけでとても目立った(笑)。在日に参政権がないのはどう考えてもおかしい。投票に行きたいと思う。
将来の希望は国際線のスチュワーデス。接客が好きだし、仕事で世界を回ってみたい。具体的には大韓航空のスチュワーデスになりたいので、勉強をがんばり、夢を実現したい。
◇大学野球で活躍を 金将平(キム・チャンピョン 九州共立大学)◇
20歳になって、在日としての自覚と責任をしっかり持ち、生きたいと思う。
京都韓国学園(現在は国際学園)野球部で投手をしていた2003年、京都地区大会ベスト8まで進出した。外国人学校で唯一、全国高校野球選手権に出場したこともあり大きな注目を受けたのは、いまも忘れられない。この経験が野球を続ける原動力になった。
高校時代のピッチングが評価されて、スポーツ推薦で九州共立大学に入学した。民族学校出身者では初めてかもしれない。
ソフトバンクの新垣投手などプロ野球選手も多数輩出している大学だけあって、野球部は甲子園経験者など約140人、投手だけでも40人近くいる。
投手で試合に出られるのは4人ほど、とても競争の激しい世界だが、やりがいはある。
これまで以上に練習に励み150㌔の速球を投げる投手になって、レギュラーに定着したい。在日としての誇りを持って頑張る決意だ。
◇教師を目指したい 金明佳(キム・ミョンガ 法政大学)◇
成人になって、しっかり人生を歩みたいと気持ちを新たにした。
女性が長く働くには資格が大切なので、教職課程で高校の先生になりたいと思っている。
教職目指して勉強を続けているうちに、先生という職業にとても興味がわいてきた。高校の先生になって政治経済を教えたい。韓国籍は教職になるのに制限があると聞いているので、その問題も考えたい。
自分自身、在日がなぜ日本に存在し、どういう状況を生きてきたのか、よく知らない。今春からゼミが始まるが、そこで在日についてしっかりと勉強したい。自分が在日について知らないと、人に説明することなど出来ないから。
在日韓国人に参政権がないことは、やはり疑問に思う。
在日韓国人としての自覚を持ってしっかりと生きたいし、機会があれば韓国に留学したい。また米国に留学して政治経済システムの勉強もしてみたい。
いまは日本名で大学に通っているが、就職するときは韓国名にしたいと考えている。