ここから本文です

2006/01/01

<在日社会>新春メッセージ

◆駐日大韓民国特命全権大使 羅鍾一◆

 昨年は光復60周年、韓日国交正常化40周年という意義深い年でした。両国政府は2005年を「韓日友情年」と定め、各種記念事業を推進し両国民の交流を深めました。40年間積み重ねてきた両国民間の草の根交流の力が、一時的な葛籐などとは関係なく持続力を持つようになったということを逆説的に見せてくれた年でもありました。

 昨年3月から始まった愛知万博をきっかけに韓国人が限定期間ではありましたが、ビザが無くても日本を訪問できるようになり、2003年末から開設された金浦-羽田間のシャトル航空便は2005年8月からは週8便に大幅に増便され、両国間の人的交流規模が年間450万人に達するなど、韓日関係は実質的に「近くて近い隣国」と変化しています。

 一方、在日同胞に文化的誇りを感じさせた韓流は、「冬のソナタ」に続き「チャングムの誓い(大長今)」が放映され、冷えることなくブームが続いています。

 昨年、歴史教科書問題が浮上した時、民団は日本の市民団体と力を合わせ、正しい歴史教育は過去の事実を直視して、真摯な反省を通じて未来志向的な真の友好関係を押し固めて行かなければならないという活動を展開し、多大なる成果を上げました。誰でも誤った歴史を直視しなければ、過去の罪科から抜け出すことはできないのです。

 また去る11月に開設された在日韓人歴史資料館は、同胞社会の主役が2世、3世に変わりつつある変革期を迎えている状況で、1世たちが歩んで来た苦難の足跡を、子孫に伝えることができる基盤を設けた点で大きな意味を持っています。

 今年は、去る6年間、民団中央本部を導いて来た金宰淑団長体制が任期を終え、新しい指導部が出帆することになります。民団の伝統である公明正大なる選挙を通じ、在日同胞の歴史的な役目を立派に遂行する新しい民団指導部が誕生することを期待しています。

 在日同胞は、今まで韓日両国の真正な友好協力の為、架橋的な役目をして来ました。これからはそれにとどまらず、分断された祖国に先立って、日本内の韓民族の和合と統合モデルを創り出し、これを通じて韓半島の平和統一を早め、東北アジアの平和と繁栄を担保する大変重い歴史的な要の役割をする時になったのではないかと思います。

 その間、民団は多くの事を成し遂げてきました。しかし、民団が惰性になったという一部同胞の批判を謙虚に受け、民団をはじめ全ての傘下団体が自主的な改革を推進し、一般団員に積極的に接し、姿勢を低くしながら奉仕する活性化された組織としてさらに変化すべきだと思います。このような時代的な要求を受容してこそ、はじめて在日同胞社会が民団を中心に、より一層強く結束し、尊敬される韓民族として、日本の地域社会と共生共栄して行くことができると信じます。

◆在日韓国民団中央本部団長 金宰淑◆

 今年10月3日、民団は創団60周年を迎えます。「第二の創団」ともいうべき新しい歴史の1ページを切り開くためには、60年の歴史を土台に、さらなる前進を約束する組織力量を整えなければなりません。

 民団は、いまや同胞の生活権を守り、サービスを提供する地方公共団体的な性格を帯びています。民団には同胞の生活レベル向上とそれにともなう価値観の変化を背景に、事業をさらに多様化させていくことが求められています。

 民団は日本の中で、多文化共生を推し進めながら地域社会に貢献すると同時に、本国政府と歩調を合わせながら、至上課題である平和統一への一翼を担っていきます。

 民団の「第二の創団」を大きな踏み台に、在日同胞の求心体としてはもちろん、韓日両社会に存在感を示すためにも、完成度の高い組織づくりを目指していきます。

◆在日韓国人信用組合協会 洪采植◆

 当協会においては2005年は記念すべき年であったと言えるでしょう。

 2002年10月以来の懸念でありました本国支援資金は足掛け3年を経て2005年8月末に156億円余りの支援が実現しましたし、同じく懸案となっておりました会員組合互助基金につきましても旧来の2倍を超える57億円を基金として2005年5月より運用を開始する運びとなりました。

 こうした資金的な下支え効果を背景に当協会の懸案事項のひとつであった合併統合問題にも大きな進展が見られ、九州地区においては2005年12月に九州幸銀信用組合と佐賀商銀信用組合の合併が実現致しました。

 合併は本年の金融業界における大きなテーマになると思われるだけに、会員組合においてもより一層の合併推進が喫緊の課題となることは間違いありません。

◆在日韓国商工会議所会長 崔鐘太◆

 昨年4月、私は「改革」を旗印に、「有言実行」をモットーに、本会議所会長職の大任を承りましたサ改革は、一朝一夕にはまいりませんが、可能な限り迅速に、総意に則り、根本的に、確実に、進めております。

 まずこれまでの、民団・韓信協・韓商の三位一体の協力関係を一層強固にするため、大使館にもご協力いただき4者会談を定期的に開催し、在日社会の発展に向けて有意義な懇談を重ねております。
 
 融資問題等に関しては、民族金融機関並びに駐日韓国系銀行等と鋭意協議を重ね、会員企業への支援事業の柱として確立できればと考えております。更に、これまでは年6回隔月発刊でありました会報「架け橋」は、毎月の発刊、そして部数も4500部から6000部に増刷し、価値ある情報を会員企業・関係機関にお届けするべく考えております。

◆在日大韓婦人会中央本部会長 夫順末◆

 激変する世界の中で全人類は平和共存と共同繁栄に向かって、困難を克服し前進せねばなりません。

 人間の自由と尊厳を主張しながら成長してきた過程を重んじ、婦人会は力の限り、次の目標に向かい最善の努力を傾注します。

 今年、私達は次の目標を掲げ、産みの苦しみを味わわねばなりません。 

①地方参政権獲得に向けて全力を傾注していきます。

②全国居住地域にて老人ホームの訪問と、韓・日女性との文化交流を積極的に推進していきます。


③朝総連女性同胞との交流が各地方において継続出来る与件を作りあげます。

④3・4世問題は素晴らしい理論を列挙するよりは、私達自らが祖国を愛し、日本の中で韓国人として堂々と生きていける与件が後世を育成する道だと思います。

◆日韓経済協会会長 瀬戸雄三◆

 昨年、日韓両国は国交正常化40周年を迎え、多くの交流行事が催されました。友好の育みを心から歓迎すべきところですが、残念ながら苦難の多き年となりました。

 せっかくの友好ムードが吹き飛び、日韓関係が極めて脆弱な基盤にあることを露呈しました。とりわけ政治と経済は補完関係にあり、政治が問題を抱えたままでは、いずれ経済にも悪影響を及ぼします。両国の経済界は政治の後押しとなるように、積極的な対話をリードしていかなければなりません。

 4月にソウルで開催した日韓経済人会議では、戦略的パートナーシップを目指し、共存共栄の好循環を作り出していくため、双方の経済人の使命と役割を確認しました。

 お互いが偏見を取り除き、率直な対話によって壁を乗り越え、未来に向かって進んでいく気概と情熱が何よりも求められているのだと思います。