横浜商銀(洪采植理事長)と北陸商銀(姜栄文理事長)はそれぞれ総代会を開き、両信用組合の合併を決議した。存続組合は横浜商銀。合併日は7月17日で、「中央商銀信用組合」の新名称でスタートする予定だ。この合併に際し、横浜商銀は出資金に対して破格的な7割減資を決めた。86億円にのぼる繰越欠損金を処理しなければ合併は不可能だからだ。合併まであと6カ月。全組合員の了解をとりつける作業が待ち受けている。
合併が実現すれば、預金高1273億円(横浜商銀1027億円、北陸商銀246億円。昨年3月末現在)の規模となる。両信用組合は、昨年7月に合併契約書を締結した。この間、合併へ向けての準備を進めてきたが、横浜商銀にとっては、最大の課題は繰越欠損金の穴埋めだった。この問題をめぐって理事会は何度も協議を重ね、7割減資に踏み切った。
現在、横浜商銀の出資金は113億6100万円。7割減資で約79億円を充当できる。加えて理事陣28人は出資金36億9100億円の全額減資に合意している。7割減資は通常ではありえない厳しいもので、合併に存亡をかけた背水の陣で臨んだことを窺わせる。
総代会では、減資に対して経営陣の責任を求める声もでた。確かに現執行部が4期連続赤字決算に追い込まれている現実はあるが、繰越欠損金をもたらした責任は前執行部にある。
洪采植理事長は7割減資に対して、「みなさまの大切な財産を毀損してしまうことにこころが痛みます」と謝罪、合併後に人事を一新する考えを示した。
減資は、合併前の7月13日に実施されることになるが、それまでに解決しなければならない問題は全組合員に減資を納得してもらうことだ。巨額の欠損を出し、赤字決算を続け、それに最近は増資までしてきた。その末の減資である。組合員から不満が出るのも当然であり、洪理事長らは「民族金融の灯を消せない」と最後のお願いをせざるを得ない。また、4%以上の自己資本比率を維持するため、増資などの対策も講じなければならない。試練はこれからが本番といえそうだ。
実は今回の合併劇には、金融庁も緊密に関与してきた。金融機関の破綻はぜひとも避けたいからだ。在日韓国信用組合協会は、今回の合併決議について、「民族金融機関を存続させるための苦汁の選択だった。金融当局の指導・支援を仰ぎながら推進しているので、必ず予定通り実現されるものと確信している」との会長談話文を発表した。
在日信組の合併は、まだ第2、第3弾がありそうだ。