パチンコ業界最大手のマルハン(韓昌祐会長)が、マカオのカジノ事業に進出することを決め、このほどマカオサクセス(澳門實徳)と業務提携を結んだ。マカオサクセスは、カジノホテルなどを展開する香港の上場企業。マルハンは、同社株式とマカオでカジノホテルを柱とする大型複合レジャー施設「ポンテ16(十六浦)」開発事業を進めている同社の傘下企業、ワールドフォーチュン(世兆有限公司)の株式を取得する形で事業参加する。マルハン側の投資額は6億8370万香港㌦(約93億円)にのぼる。
マルハンとマカオサクセスの事業提携発表は、香港市内のホテルで、韓昌祐会長、ソニー・ヤン(楊海成)会長ら両社経営陣により行われた。
それによると、マルハンは今回の提携で、マカオサクセスの発行済み株式24億1946万株の18・2%に当たる4億4000万株を2回にわけ4億7520万香港㌦で取得した。契約時に9・1%を取得、追加でさらに9・1%を取得した。これはマルハンの投資意欲の高さを示す。
マルハンはまた、マカオサクセスの傘下企業、ワールドフォーチュンの株式の10・2%分を2億850万1260香港㌦で取得した。
マルハン側は、今回の海外事業への出資について、「パチンコ以外のレジャー事業についてノウハウを学びとることを目的とし、将来はカジノ業を中心とした大型レジャー施設の展開を視野に入れた中期事業戦略の一つ」と説明。パチンコにとどまらない、本格的なエンターテイメント事業展開の一環であることを印象づけた。
「ポンテ16」は、カジノホテル、ショッピングセンター、娯楽施設などを擁する大型の複合レジャー施設で、複数の企業が投資している。ワールドフォーチュンの投資比率は49%で最も高い。今月から年末にかけて娯楽施設やカジノホテルがオープン。総合オープンするのは来年半ばの予定。この施設に対するマルハンの権益は5%に達する。
両社にとって今回の提携の意味は小さくない。韓昌祐会長は、今後アジアにおいてカジノ事業だけでなく各種の開発事業に積極的に取り組みたい、と意欲をみせた。
ソニー・ヤン会長は「マルハンの資本を入れることでポンテ16市場はさらなる活力が生まれ、将来的に(隣接する)中国の不動産進出も視野に入る」と期待した。マカオサクセスにとって、日本での200を超えるパチンコ店舗網などを通じたポンテ16の宣伝効果がある。また、今後3-5年後の予想もある日本でのカジノオープン時に、両社の提携で相乗効果が期待できる。マルコ・リー(李兆祥)副会長は、「マカオへの日本人客の誘致、パチンコ事業の導入、東南アジア地域での事業発展に役立つ」と指摘。マルハンも、マカオでのパチンコ事業を視野に入れている。
マカオのカジノは成長著しく、昨年の売上高は69億5000万㌦を記録。世界最高を誇っていた米ラスベガスの推計65億㌦を上回った。カジノ市場の開放からわずか4年で世界一のカジノ都市に躍り出た背景には、中国から溢れ出るチャイナマネーがある。マルハンの進出で、マカオカジノ市場にさらなる活力が吹きこまれそうだ。
◆開発事業で提携強化
今回のマルハンとマカオサクセスの業務提携は、現地マスコミの強い関心を集め、提携発表翌日(10月19日)の英字・華字各紙で「マルハンがマカオセスの株式18%取得」「十六浦に日系資本受け入れる」などと報じられた。
韓昌祐・マルハン会長は、現地マスコミとの会見で、「いま世界で最も大きく成長しつつあるマカオのエンターテイメント市場に微力ながら参入できたことを大変嬉しく思います」と述べ、提携先のマカオサクセスについて、「若い経営陣によるエネルギッシュで、これから無限に伸びる可能性のある会社」と高く評価した。また、「両社はこれからアジアにおけるカジノ事業、開発事業で一層提携を深めていく考えです」と強調した。