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2007/08/14

<在日社会> 「植民地支配の責任忘れず」

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              「復刻 戰ふ朝鮮」

 元朝日新聞社会部記者の宮田浩人さんが「復刻 戰ふ朝鮮」(新幹社、4500円)を出した。「大東亜戦争」の終焉間際、植民地朝鮮の姿を記録した写真集だ。宮田さんは、「植民地支配の礼賛本として作られた写真集だが、その中に植民地支配の非人間性が映し出されている。日本の歴史と責任を問い直す資料として見てほしい」と話す。


 宮田浩人さんは朝日新聞社会部記者として、在日の人権問題、南北分断、韓国の民主化闘争などを、94年に退社するまで報道し続けてきた。71年には南北生き別れになっていた北朝鮮の女子スケート選手・韓弼花さんと韓国に住む兄の韓弼聖さんとの電話による再会に尽力した。

 朝日新聞退職後も、韓国言論人との交流を続け、今年6月に韓国で開かれた「韓国民主化と海外言論国際セミナー」にも出席している。

 「植民地支配の罪科を記憶の底に埋め込み、清算を放置したまま恥じようとしない日本の政府、社会を批判することで、よりよい社会を作りたい、在日の処遇改善につなげたい、その思いで記者生活を続けてきた」

 その宮田さんが『戰ふ朝鮮』の原本を見つけたのは、2002年のこと。

 「友人である在日2世の呉徳洙監督が、映画『在日』を制作していて、資料やフィルム収集の相談を受けた。呉さんは私の家の書棚からこの本を見つけ、こんな貴重な資料があると言ってくれた。調べてみると、編集製作を担当したのが当時朝日新聞出版局員の亡父だったので大きな衝撃を受けた。朝日新聞社も亡父も、戦時体制下、このような本を作らざるを得なかったのだろうが、(翼賛体制に協力していたことに)何とも虚しい気分に陥った」

 『戰ふ朝鮮』の原本が発刊されたのは1945年6月20日。同年3月東京大空襲、4月米軍沖縄上陸、ムッソリーニ銃殺、ヒトラー自殺、5月ドイツ降伏と敗色が色濃くなる中、日本は同年6月8日に本土決戦を決定していた。そのような中で出版された。

 「半島の皇国臣民はかくも雄雄しく聖戦を戦い抜いている。内地国民も決意を固めよ」と戦意高揚をあおるための、植民地礼賛本で、「皇国臣民誓詞の塔」「朝鮮神宮」「大和塾」などが登場する。一方で「半島の風物」は、当時の庶民の生活を知る貴重な写真でもある。

 「この間の日本のマスコミ報道や世論を見ていると、植民地支配に対する責任を忘れてしまったように見える。それに警鐘を鳴らし、日本と韓半島がより良い関係を作るための一助になればと願い、また亡父が行ったことに対する息子としての責任も感じ、出版を決意した。多くの人、特に次代を担う若者に読んでほしい」と、宮田さんは強調する。