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2007/07/20

<在日社会>大阪府公募の人権啓発ドラマ・在日2世の作品採用

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    昨年度は発達障害をテーマにした「アイムヒア 僕はここにいる」(写真上)が作られた

 大阪府教育委員会が一般公募した人権教育啓発映画に、在日2世の李京愛さん(イ・ギョンエ、57)の作品が採用された。李さんは「子ども体験などを元に共生社会への願いを込めて書き上げた」と話す。

 人権啓発映画は被差別部落、ハンセン病患者、女性差別、障害者差別、外国人差別問題などをテーマに、各地の教育委員会や法務省人権擁護局などが主体となって、これまで数多く作られている。

 大阪府では人権問題に関する意識調査も行っているが、それによると人権啓発活動に役立ったものの中では「テレビ・ラジオ」が約25%、「映画・ビデオ・スライド」が約14・2%と、映像作品の役割が大きいことが認識されている。

 その映像作品をより府民に見てもらうため、大阪府教育委員会では2000年度から人権啓発映画のストーリー一般公募を行っている。学校や職場、家庭や地域の中で、人権の大切さについて考えるきっかけとなった体験談やエピソードなどを募集し、それを映像化することで、人権問題をよりわかりやすく伝えるために始められた。作品はドラマ化されて毎年3月に初放送、8月に再放送と2回放送される。

 昨年度は「アイムヒア 僕はここにいる」が選ばれ、1600万円をかけて映像化され、今年3月30日に朝日放送テレビで放送された。8月の再放送も決定している。同作品は知的な遅れはないものの、発達がアンバランスなために学校や社会で生きにくさを感じ、苦しんでいる”発達障害”の人たちへの理解と、どんな支援が必要かを考えるために作られた作品で、4月からは大阪府立中央図書館にビデオが置かれ、団体向けに貸し出されている。

 今年度採用された李京愛さんは、大阪市内の小学校で民族保護者会、同胞保護者連絡会の会長を務めた経験を持つ。

 応募作品は、李さんが子どもたちとの会話や日々の生活の中で感じたエピソードを元に書き上げたもので、本名と日本名の問題、子どもたちのアイデンティティーなどが取り上げられている。

 撮影プロダクションは近く決定予定で、今秋撮影が始まり、来年3月にテレビ放送される。
在日密集地の大阪・生野で生活している。子どもたちは本名で学校に通わせた。小中高は本名で生きていることが普通でも、社会人になり生野から外に出ると、本名で生きることは普通ではなくなる。

 子ども達も、「変な名前」とか「いつ日本に来たの?」「日本語が上手いね」などと言われ、いかに在日コリアンのことが日本社会に知られていないかを実感した。

 その一方で、娘は本名で看護婦を目指しているが、おなじ在日同胞の患者さんから喜んでもらえたりとか、うれしい経験もした。

 そういう子どもたちや私の体験を土台に書いて応募したが、選ばれるとは思わなかった。どういうドラマに仕上がるかとて楽しみだ。

 これからの社会を作り上げていく在日の若者たちには、自分の出自をマイナスイメージでとらえるのではなく、日本の若者たちには違いを違いとして認めて、共に生きていってほしい。