本名で活躍する在日の俳優、監督が目立つようになった。『NANA2』に主演した姜暢雄は人気が急上昇。李相日監督の『フラガール』は、日本アカデミー賞を受賞した。最近の動きを紹介する。
姜暢雄(キョウ・ノブオ、28、写真上)は兵庫県出身の在日3世。第11回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで「フォトジェニック賞」を受賞して芸能界デビュー。昨年、映画『NANA』の主役に抜てきされ、一躍注目を集めた。
現在、彩の国さいたま芸術劇場で上演中の蜷川幸雄演出「恋の骨折り損」に出演している。
日本名で生きてきたが、在日であることをずっと自覚してきた。芸能界デビューするにあたり、「在日である自分を隠したくない」と、本名でデビュー。日本国籍を数年前に取得し、韓国系日本人として生きている。「どの国の国籍を持とうが、韓国人であることは変わらない」と、雑誌のインタビューなどで答えている。
東京・森下のベニサンピットで上演中の「エンジェルス・イン・アメリカ」に、在日3世の若手俳優パク・ソヒ(31)とチョウ・ソンハ(26、上から2番目)の2人が出演している。2004年に続く再演で、2人とも同作への出演で評価を高めた。
原作はトニー賞を受賞したブロードウェイのヒット作でパク・ソヒは共和党員の弁護士、チョウ・ソンハは天使を演じる。
パクは、『血の婚礼』『ベント』『三人姉妹』などに出演し、骨太の演技で高い評価を得てきた。「この舞台を演じることが、役者としていろいろと傷つきやすい自らの魂のリハビリになっている。最高の舞台に仕上がっている」と自信を見せている。
パクはハリウッド映画『THE RAMEN GIRL』に準主役で出演し、近く米国で公開予定。釜山国際映画祭にも出品が予定されている。日本公開も検討されている。「日本・韓国・米国で活躍するコリアン・ジャパニーズの俳優として羽ばたきたい」と話す。
チョウ・ソンハは東京出身。「エビ大王」「WEE THOMAS」などの話題作に出演してキャリアを積み、今後の飛躍が期待されている。「演劇でしか味わえない苦しみと喜びを、この作品で感じて欲しい」と、抱負を語った。
在日2世の崔洋一(チェ・ヤンイル、57、上から4番目)監督が『壽(ス)』で韓国映画界にデビューした。『血と骨』などの作品で有名な日本映画界を代表する監督。日本映画監督協会の理事長を現在務めている。
崔監督はソウルでこのほど行われた記者会見で「『長い映画人生の中でも、父の国で作った作品という点で特別な映画。孤独な男の話を描きたかった。韓国のスタッフとは文化的な違いで、さまざまな問題も、そして涙と笑いもあった」と感想を語った。また、「韓国の俳優は最高。人間的にも面白く、クールで尊敬できる」と述べた。
在日3世の李相日(リ・サンイル、33、上から3番目)監督の『フラガール』が、日本アカデミー賞作品賞など5部門を受賞して話題を独占した。李監督は日本映画学校出身。このほど文化庁芸術選奨の文部科学大臣新人賞を受賞するなど、一流監督への道を歩んでいる。