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2007/01/19

<在日社会> 韓国の不動産税制 第1回

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 経済のグローバル化の進展に伴い、モノ、サービスだけではなく人と資金の国際的な流れも活発になっている。特に、韓国と日本は民主主義と市場経済という同じ政治・経済体制の下でお互いに影響を与え合い、経済交流と協力関係は将来一層深化すると予想される。韓国税制について理解しておく必要性のある方々がだんだん増えそうだ。そこで、今回、駐日韓国大使館の李康泰・税務協力官にシリーズで解説していただく。

 韓国の不動産税制とは、不動産の取得、保有及び譲渡時の課税の総称という意味で用いられる。まず、不動産の取得時の課税について調べて見よう。

 不動産を取得する過程では、いろいろな税金と出合うことになる。主なものだけでも、不動産の売買契約書、銀行から資金を借り入れるためのローン契約書などを作成した場合に課される印紙税、売買が完了して所有権の移転登記を行うときに課される登録税があり、不動産の取得代金を全部払って不動産を取得したときには取得税がかかる。

 ◆印紙税 不動産を購入する場合は、不動産の所有者、建設会社などと不動産売買契約書を作成することになる。また、銀行などから不動産の取得資金を借り入れる場合は、金銭消費貸借契約書を作成することになる。

 このような契約書を作成するときは、収入印紙を購入し、契約書に貼って消印する方法によって印紙税を納付しなければならない。

 「不動産の所有権移転に関する証書」に対する印紙税の税率は表①のようになっている。

 Q&A 新築アパート売買契約書の印紙税

 <質問> 私は昨年11月15日に、新築アパート(土地付)を購入するため、建設会社と売買契約を締結し、売買契約書を3通作成しました。売買価額は4億6千万ウォンです。 この場合、印紙税額はいくらですか。

 <回答> あなたが建設会社と作成した新築アパート売買契約書は、印紙税法でいう「不動産の所有権移転に関する証書」に該当します。印紙税額は、記載金額が4億6千万ウォンですので、上の税率表により15万ウォンになり、売買契約書1通ごとに15万ウォンの収入印紙を貼って消印することになります。印紙税額は合計45万ウォンになります。

 ◆登録税 不動産の売買契約を締結し、売買代金を全部支払うと、やっと不動産の登記を自分の名義に変更することになる。このような不動産の所有権移転登記を受けるときは、登録税が課税される。

 登録税は不動産の所有権移転登記を受ける前に、管轄市・郡・区役所に納付し、登記を申請する時、登録税「領収確認書」を添付して提出しなければならない。また、登録税を納付するときには、登録税額の20%に相当する地方教育税をいっしょに納付しなければならない。

 主な不動産登記の登録税の課税標準と税率は表②のようになっている。
 
 取得価額は不動産の取得者が申告した価額が用いられるが、申告しない時とか申告した価額が時価標準額に達しない時には時価標準額となる。ただ、国家または法人などとの取引で事実上取得価格が立証される場合には取得価格によって計算する。

 時価標準額は国家または地方自治団体の長が決定する不動産の評価額をいう。すなわち、土地は個別公示地価、住宅は共同・個別住宅価格、住宅以外の建物は管轄地方自治団体の長が決定した価額になる。

 Q&A 中古アパートを個人から取得した場合の登録税

 <質問> 私は中古アパートを個人から取得し、今年2月2日に所有権の移転登記を申請する予定です。このアパートの時価標準額は3億8000万ウォンで、事実上取得価格は4億7500万ウォンです。この場合、登録税はいくらになりますか。

 <回答> あなたの場合は、個人間の住宅売買取引分ですので、課税標準は時価標準額が用いられ、税率は軽減税率1%(1・2%)が適用されます。

 ①登録税:3億8000万ウォン×1%=380万ウォン
 ②地方教育税:380万ウォン×20%=76万ウォン

 以上のように、合計456万ウォンの登録税と地方教育税を納付することになります。

 ◆取得税 不動産の取得代金を全部払って不動産を取得した場合は、取得日(取得代金を全部払った日)から30日以内に管轄市・郡・区役所に取得税を申告・納付しなければならない。

 その申告・納付期間に申告・納付しない場合は、申告不誠実加算税(20%)及び納付不誠実加算税(1日1万分の3)を追加して負担することになる。

 また、取得税を納付する時は、取得税額の10%に相当する農漁村特別税をいっしょに納付しなければならない。

 不動産取得税の課税標準と税率は表③のようになっている。取得税において取得価額というのは登録税においての取得価額と同じように時価標準額を意味する。

 Q&A 中古アパートを個人から取得した場合の取得税

 <質問> 私は中古アパートを取得するために個人と売買契約を締結し、今年1月16日に取得代金を全部払いました。
このアパートの時価標準額は3億8000万ウォンで、事実上取得価額は4億7500万ウォンです。この場合、取得税はいくらで、いつまで申告納付すればいいでしょうか。
 
 <回答> あなたの場合は、個人間の住宅売買取引ですので、課税標準は時価標準額が用いられ、税率は軽減税率1・5%(1・65%)が適用されます。

 ①取得税:3億8000万ウォン×1・5%=570万ウォン
 ②農漁村特別税:570万ウォン×10%=57万ウォン

 以上のように、合計627万ウォンの取得税と農漁村特別税を納付することになります。 そして、取得税と農漁村特別税は今年2月15日以内に申告・納付しなければなりません。


  イ・ガンテ 1953年生まれ。国際大学卒業。一橋大学大学院法学研究科(法学修士)修了。76年国税庁入庁。財務部税制室、国税庁審査2課、保寧(忠清南道)税務署長などを経て2004年8月から駐日韓国大使館税務協力官