韓哲文化財団(韓昌祐理事長=マルハン会長)の第2回助成金伝達式が14日、マルハン本社(東京都千代田区)で行われた。昨年よりも規模を拡大し、学術・文化・芸術・スポーツ・福祉など13人に助成金が伝達された。韓昌祐会長は、「来年はさらに規模を拡大したい」と語った。
韓昌祐・理事長は、「1978年に16歳で事故で亡くなった長男の名前、『韓哲』を財団名にした。息子が生きていたら何を成し遂げたかったか、また息子の名前を歴史に残しておきたいと思ったからだ。今日3月14日は、その韓哲の46回目の誕生日になる。今後も社会貢献を続け、財団の予算も今後は倍にする計画だ」とあいさつした。
池坊保子・文部科学副大臣は、「韓哲財団が能力ある人材を世に出すのは、息子さんの魂が生きている証し。ゼロからスタートして大企業を作り上げ、そして社会貢献を行う韓昌祐会長の姿勢を、経済界の人たちは見習ってほしい」と語った。姜仁秀・八千代病院理事長は、「13人の受賞者は韓日の懸け橋になれるよう、さらに努力してほしい」と述べた。
続いて13人への助成金伝達が行われ、韓昌祐会長がそれぞれ手渡した。バイオリニストの梁美沙さんはフランス留学中で欠席。
徐希姃さんは、「韓日の女性映像作家の作品と資料を調査している。助成金をもとに調査を進めたい」と語った。
英国ロイヤルバレエ団に所属するバレリーナの崔由姫さんは、英国で公演中のため、母親が代理として出席。「娘も財団の社会貢献理念に共鳴しており、将来はバレエを普及させる一助を果たしたいと考えている」と話した。
田畑博子さんは「韓国神話集成」を出版し、今後、「韓国昔話集成」や「韓国民間説話集成」の出版を企図している。「出版助成のおかげで2冊目以降が出版できる見通しが立った。古代史研究を通じて韓日交流に貢献したい」と話した。
1920年代から朝鮮の在来農法を調査した農学者・高橋昇の研究をしている河田宏さん。「高橋昇の功績を伝えたい。15年前に第1回の助成を受けた。今回も本当に感謝している」と語った。
同志社大学で日韓地方自治研究センターで両国の地方自治を研究している真山達志さんは、「助成金をもとに、韓日の街づくり活動の研究を進めたい」と述べた。
近代韓国文学の巨匠・李光洙の研究をしている和田とも美さんは、「韓国文学の魅力を日本語で伝えられるよう努力したい」とあいさつ。
京都外国人高齢者・障がい者生活支援ネットワーク・モアの加藤博史さんは所用で欠席。代理で故郷の家京都事務所の推進担当、金周萬さんが「加藤さんらと京都に住む在日高齢者、外国人住民らを支援するネットを結成している。支援に感謝したい」と話した。
在日高齢者が学ぶ場「うり・そだん」を運営している鄭貴美さんは、「今後、韓国との識字交流などを行い韓日友好に貢献したい」と語った。
韓国料理による病気治療食研究を行っている高根恵子さんは、「99年に治療食の本を出したが、その時は予算が少なく、料理の写真を入れられなかった。今回の助成金をもとに、写真を入れた韓国料理治療食の本を出したい」と述べた。
フィギュアスケートの金彩華さんは、「スポーツへの助成に感謝したい。韓国代表として国際大会への出場も経験した。さらに練習を積み、活躍したい」とあいさつ。
舞台『もう一つのシルクロード』の上演を秋に計画している康明姫さんは、「今回の助成は大きな励ましになった。シルクロードと韓半島の関係を描く公演を、必ず成功させたい」と述べた。
夫徳柱さんは、「在日のアイデンティティーを建築で表現したいと考えてきた。在日の歴史を表現する仮想ミュージアムの作成費用に、助成金を当てたい」と話した。
財団の前身は90年12月に発足した「韓国文化研究振興財団」。05年3月、助成範囲に芸術分野を含み、さらに芸術分野の交流などを積極的に進め、韓国と日本両国の関係を深めてゆく一助となるため、名称を「財団法人 韓哲文化財団」へと改め正式に認可された。
音楽・演劇・舞踊・美術・写真等の若手芸術家への助成が付け加えられ、2006年度第1回助成対象者7人。