1923年9月1日に起きたマグニチュード7・9とされる関東大震災で、大被害が出る中、約6000人の朝鮮人が虐殺される事件が起きた。それから85周年を迎え、同事件の真相を明らかにし犠牲者の名誉回復を求める動きが、韓国・日本・在日の学者、市民団体などによって始まり、先日シンポジウムが都内で開かれた。また1日には、関東各地で追悼集会が開かれた。
朝鮮人虐殺事件はなぜ起こったのか、また犠牲者の人数・氏名など、これまで学者・関係者の調査が続けられてきたが、いまだ未解決の部分が多い。そのような中、2007年11月、「関東大震災における朝鮮人虐殺の真相糾明と名誉回復を求める日・韓・在日市民の会」が発足した。
韓国の徐紘一・国学研究所所長、金鍾洙・アヒナム教育文化研究所所長、在日の歴史学者、琴秉洞氏、姜徳相氏、日本の歴史学者、山田昭次氏、田中正敬氏らと市民、学生によって構成された同会は、今年1月から韓日各地で集会と署名運動を行い、8月には東京で「関東大震災85周年 朝鮮人犠牲者追悼シンポジウム」を開いた。琴秉洞氏は「関東大震災の朝鮮人虐殺が、後のアジア侵略戦争での大量虐殺につながった」と述べた。
同会が要望しているのは、①日本政府は過去の罪科を謝罪すること②日本政府は「関東大震災における朝鮮人虐殺事件」のすべての資料を公開すること②韓国政府は真相糾明のための特別法を制定すること④韓国と日本の歴史教科書に同事件に関する記述を収録すること、である。
「韓日の友好のためにも真相糾明は不可欠であり、会の発足がその転機になれば」と、同会関係者は強調する。
9月1日の夜から、「朝鮮人が暴動を起こして攻めてくる」「朝鮮人が放火し、井戸に毒を投げ込んでいる」などの流言飛語が起き、その中で、各地で「朝鮮人狩り」が始まった。警察・軍隊のほか、民間の自警団などによって朝鮮人が殺された。
朝鮮人は日本語の発音がおかしいからと、検問で「十五円五十銭」(ジュウゴエンゴジュッセン)と言わせ、「チュウゴエン コチッセン」と発音した人間を引っ立てたのは有名な話。一方で、朝鮮人保護に尽力した布施辰治弁護士のような良心的日本人もいた。