歴史問題を見つめなおし、東アジアと世界平和に貢献するための「第2回歴史NGO世界大会」が、8日から12日までソウルで開かれた。在日2世の宋富子さん(ソン・プジャ、67、高麗博物館前館長)が同大会に参加、1人芝居を通して在日の歴史を紹介した。
同大会は昨年9月、東北アジア歴史財団などが主催して初めて開かれ、在日からは高麗博物館(東京・新宿)の前館長で、宋富子さんらが出席した。
今回開かれた第2回大会には、在日からは前回に引き続き宋富子さん、それに大阪で在日高齢者問題に取り組む団体代表などが参加。その他、世界23カ国から約200人の歴史関連のNGO活動家、歴史学者などが出席して開かれた。
会議の冒頭、李明博大統領から、「過去、現在をみつめ、未来に向け平和をつくっていこう」との祝賀メッセージが寄せられた。
宋富子さんは、「愛するとき奇跡は創られる」と題して、在日三代史を一人芝居で演じ、在日に対する差別、関東大震災における朝鮮人虐殺、未来に向けた在日の歩みを表現。さらに公演後の質疑応答や、会場でのパネル展示などを通して、在日の歴史を伝えた。
韓国の学生からは、「在日の歴史は知らなかった。多くの若者が知らないと想う。韓国の歴史教科書で詳しく触れるべきと感じた」「日本に行って在日の人と話をしてみたい」「就職やアパート入居などで、いまも差別が残っていることに驚いた」などの声が寄せられた。またカナダや米国の参加者からは、「米国を訪れ、英語字幕を入れて公演してほしい」との要望があった。
会議では他に、米国の出席者から、「歴史認識共有のために①関係国の政府、市民による対話②教育の現場に葛藤を解決するための訓練を導入③世界で起きる紛争解決の訓練などを行うこと、特にNGOの活動が不可能を可能にする」との意見が出され、韓国側からは、「歴史家が中心となって地域間の対話を発展させよう」との声が、ドイツ側からは、「ドイツは加害の歴史を見つめるのがまだ不十分。さらに運動を進めたい」などの報告がなされた。
宋さんは、「在日と日本人が歴史を共に考える場として、高麗博物館を運営してきたが、その思いが世界の参加者に伝わったことがうれしい。また在日の苦難の歴史に、多くの参加者が関心を寄せてくれた。歴史認識の共有から韓日友好は始まることを、今後も訴えていきたい」と語った。