韓国プロ野球SKの金星根監督(65)、プロ格闘家の秋成勲(33)、女優の柳水永(26)と、韓国で活躍する在日コリアンの現況を紹介する。
◆韓国プロ野球の名将
金 星根さん(キム・ソングン、SKワイバーンズ監督)
韓国プロ野球SKワイバーンズの監督に2007年就任し、2006年6位だった同チーム(韓国は1リーグ8チームで、公式戦優勝チームと、2、3位のプレーオフ勝者とが韓国シリーズで対戦)を見事公式戦優勝に導き、韓国シリーズでも斗山を4勝2敗で破り、初優勝を勝ち取った。また昨年のアジアシリーズでも予選3試合を全勝し、決勝戦では中日ドラゴンズに敗れて準優勝となったが、その緻密な采配で韓日プロ野球から注目を浴びた。今シーズンも9月21日に公式戦2連覇を果たしている。
金監督は京都出身の在日2世。桂高校でサウスポーとして活躍した後、韓国実業団入りした。家が貧しく、また当時は在日韓国人を採用する企業がなかったため、海を渡る決断をしたものだ。
肩を壊して現役生活を断念後は、高校野球、社会人野球の監督を務める。82年に韓国プロ野球が発足するとコーチとしてOB(現・斗山)に招かれ、その後監督に就任する。チームを勝利に導くため、ワンポイントリリーフ、ショートリリーフなどの頭脳野球、細かい野球を初めて取り入れた。弱小チームを再生する手腕には定評があり、SKが6チーム目の監督。これまでの通算勝利数は1020勝になる。
一方で、一本気な性格からフロントと衝突することも多く、LG監督時代の2002年オフに退団、その後、2005、6年には日本プロ野球ロッテの特別コーチとして当時在籍していた李承ヨプ選手の再生に尽力した。
日本の緻密さ、韓国のパワー、スピード、両方の長所を見習いながら、アジア野球を発展させるのが願いという。
今月下旬に行われる韓国シリーズ、そして11月のアジアシリーズが控えている。
◆闘志あふれるファイト
秋 成勲さん(チュ・ソンフン・秋山成勲、プロ格闘家)
秋成勲(秋山成勲)は大阪生野出身の在日4世。9月23日にさいたまスーパーアリーナで開かれた総合格闘技DREAM大会で外岡真徳に一本勝ちし、7月に続き2連勝、通算成績を15戦12勝1敗(無効2)とした。
今年3月、韓国のバラエティ番組で歌を披露したところ、それが好評を博し、CD発売、音楽番組出場と話題となり、20、30代の女性から高い人気を誇るようになった。
歌手、ファッションモデルもこなし、ハイトビールなど3本のCMに出演。「映画化したいスポーツ選手」の1位になっている。
3歳で柔道をはじめ、近畿大学卒業後、五輪の韓国代表を目指した。しかし在日同胞に対する冷たい視線、疑惑の判定などで、韓国代表を断念して日本に戻る。アテネ五輪日本代表を目指して日本国籍を取得し「秋山成勲」となる。しかし2004年4月、81㌔級準決勝で敗れて代表入りを逃した。
同年7月にフリーのプロ格闘家となり、同年12月31日に格闘技デビュー。激しいファイトぶりで人気を集めるものの、2006年12月31日、桜庭和志と対戦して勝利するも、全身にクリームを塗った反則行為で無期限出場停止処分を受けた。日本では「ヌルヌル秋山」と呼ばれるなど、ダーティイメージを払拭できていない。
2007年10月、出場停止処分が解除されると、同年10月28日、韓国で開かれた「HEROSKOREA」でデニス・カーンと対戦し、KO勝ちし、見事復帰した。また写真週刊誌でファッションモデル「SHIHO」とのツーショットを撮られたりもしている。
◆韓国人気ミュージカル「サ・ビ・タ」出演
柳 水永さん(ユ・スヨン、女優)
14年というロングラン公演を続けている「サ・ビ・タ~雨が運んだ愛」。男性2人、女性1人という出演者3人だけの兄弟愛、家族愛をテーマにしたミュージカルで、96年には韓国ミュージアカル大賞4部門を受賞している。出演を希望する俳優が多く、スターの登竜門としての役割も果たす。
7月には日本語版が都内で上演されるなど、韓日で高評価を得ている作品だ。現在も大学路で上演されているが、柳水永はダブルキャストの一人として出演し、見事な演技と歌を披露している。
神奈川県出身の在日2世で、韓国の女性アイドルグループS・E・Sのメンバーとして、97年11月にシューの芸名でデビューした。98年春、金大中大統領とともに、海外の観光客誘致を呼びかけるCMに出演。同年10月には日本デビューを果たし、歌番組に出演する一方、週刊誌のグラビアなどにも登場するが、2002年末に解散。シューは本名の柳水永で韓国での芸能活動を再開した。
「観客に満足してもらえる舞台にしたい」と話す。