李明博新大統領が出帆した。在日社会は李大統領に何を期待するか、声を聞いた。
◆統一問題の前進求む 姜 在彦さん(歴史家、写真・上から1番目)
就任演説を聞いても、また新閣僚の布陣を見ても、経済中心の態勢が伝わってくる。イデオロギー対立の時代が終わりつつある中、実務型大統領として韓国経済の建て直しに期待したい。
一方で、統一省の廃止問題などでごたごたしたのは正直残念だ。2000年の南北首脳会談以後、進んできた南北関係が、停滞してしまう不安を感じる。経済再生と同時に、南北関係を更に前進させるための方策を打ち出してほしい。
◆政治に道徳性重要 李 鍾元さん(立教大学副総長、写真・上から2番目)
経済再生への大きな期待を背負ってスタートしたが、財界と労働者、両者から期待されている分大変だ。世界的な経済後退が進む中で、韓国経済をどう立て直して先進化を進めるか見守りたい。
閣僚人事でつまづいたが、能力重視のあまり、道徳性をおろそかにした感は否めない。企業経営は利益重視で済むが、政治には様々な階層を納得させる原則、道徳性が求められる。人事の軌道修正が求められる。
◆韓日FTA締結を 姜 仁秀さん(広島・八千代病院理事長、写真・上から3番目)
韓日関係にも実利主義を取り入れてほしい。韓日関係が友好的でないと、在日の立場も良くならないし、友好に向けた在日社会の努力も無駄になってしまうからだ。
日本は世界有数の経済大国であり、技術力も高い。日本とのパートナーシップを深めることは、経済再生に不可欠だ。
韓日FTAを早期に結び、両国が協力して経済発展への道を歩んでほしい。ビジネスマンとして大成功したらつ腕に期待したい。
◆新しい経済環境を 朴 一さん(大阪市立大学教授、写真・下から2番目)
これまでの韓日関係は歴史問題に固執しすぎたが、李新大統領は政治より経済重視なので、韓日は新しい局面に入っていくだろう。韓日間で貿易などの仕事をしている人は急増している。彼らが仕事をしやすい環境をつくってほしい。
韓日、そしてアジアを舞台に様々な人が自由に経済活動できる舞台を作ってもらいたい。
在日の地方参政権問題は、相互主義に基づいて進めてくれると期待している。
◆民族教育に支援願う 姜 誠さん(フリージャーナリスト、写真・下から1番目)
韓日中心に東アジア経済共同体をつくり、域内における人の移動、人権、参政権などを相互主義で進めてほしい。そうすれば在日の権利も拡充するだろう。李新大統領の実利主義にならって、日本も実利的に進めてもらいたい。
大阪生まれで、貧困家庭に育って進学が大変だったので、教育問題には関心があると思う。海外同胞の民族教育に支援を期待したい。