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2008/01/01

<在日社会>新春に羽ばたく!-在日の女性アーティスト・アスリートたち

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    ヤン・ミサ 1987年大阪生まれ。05年相愛高等学校卒業。同年明治安田生命クオリティオブライフ文化財団の「海外音楽研修生費用助成」を受け、パリ国立高等音楽院第3課程「ヴァイオリン演奏家コース」に入学。07年修了。引き続き同音楽院室内楽課程に入学。

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    チェ・ユヒ 1984年北九州市生まれ。在日4世。5歳よりクラシックバレエを習う。02年ローザンヌ国際バレエコンクールで「プロ研修賞」受賞。英国ロイヤルバレエ団で1年間の研修を経て、03年同バレエ団に正式入団。06年ファースト・アーティスト昇格。

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    キム・チェファ 1988年大阪生まれ。在日3世。07年関西大学商学部入学。同大学スケート部所属。コーチは濱田美栄、田村岳斗。韓国スケート連盟に登録。韓国代表選手として世界大会に参加。07年全韓国ジュニア大会1位、NHK杯フィギュア9位。

◆パリ国立高等音楽院に留学中 梁美沙さん(ヴァイオリニスト)

 長い伝統を誇り、著名な音楽家を多数輩出している世界最高峰の音楽学校「パリ国立高等音楽院」。そこで世界的ヴァイオリニスト、ジャン・ジャック・カントロフ教授のもとでヴァイオリンを学んでいる。3歳でヴァイオリンを始め、12歳のときに初のリサイタルを開催。13歳のときに英国で開かれた「ユーディ・メニューインヴァイオリンコンクール」で優勝。日本の主要オーケストラと次々に共演を重ねるなど、豊富な演奏経験を積み重ねている。学院ではソロと室内楽の両方を専攻している。

 「フランスは多民族国家。学校も様々な国籍の人がいて刺激を受ける。ソロは緊張するけれども充実感がある。室内楽はソロとは違った楽しさがある。フランスの作曲家にも積極的に取り組みつつ、ベートーヴェン、ブラームスの楽曲を全曲学びたい」

 「クラシック音楽は、元来欧州で生まれたものだけれど、今や世界中の人々を魅了し、愛されている普遍的な文化だ。日本で生まれ育った在日韓国人3世の私が、将来、その文化の一表現者として世界の人々に、とりわけ日本と韓国の人々に、そして私の世代以降に生まれた人々にも、その素晴らしさを伝えることができたら素晴らしい」

 韓国・済州島がルーツだが、まだ韓国に行ったことはない。

 「韓流ドラマのファン。特に『宮廷女官 チャングムの誓い』を見て、自分の信念を貫く主人公の姿にあこがれた。韓国語の聞き取りなら少しはできるが、読み書きは出来ないので、いつか本格的に学びたい。祖父母のルーツである済州島にもぜひ行ってみたいし、生活もしてみたい。自分のオリジナルはコリアと両親から教えられてきたので、それを大切にしたいと考えている」

 学院で残り2年学んだ後、プロの音楽家として羽ばたく。活動拠点を日本にするか欧州にするかは未定だ。

 「どこで活動するにしても、自分の個性を大切にし、聴衆に喜びを与える音楽家になりたい」


◆英国ロイヤルバレエ団で活躍 崔由姫さん(バレリーナ)

 英国ロイヤルバレエ団は、フランスのパリ・オペラ座、ロシアのボリショイ劇場とともに世界3大バレエ団と称されている。

 そこでファースト・アーティストとしてほぼ毎回公演に出演しているのが、北九州出身の在日4世、崔由姫さんだ。

 年間約140回の公演、公演のためのリハーサル、毎朝バレエ・クラスはもちろん、自分の体をもっと知るため、週2回ボディー・コンディショニング(ピラティス)や、ジャイロトニックなどにも通うなど、多忙な日々をすごしている。

 「どんなに体力的に辛い作品でも、練習することによって、必ずうまくいく。2000人以上の観客の方に満足してもらうため、どんなに小さな役でも精一杯踊っている。観客の期待を裏切らないため、体力だけでなく、精神面でも、鍛えられていると思う」

 バレエを始めたのは5歳のとき。朝鮮学校に通いながらバレエを学んだ。将来は、日本のバレエ界発展に尽くしたいとの希望を持っている。

 「ダンサーを目指す人たちは、テクニックだけにとらわれず、表現者として、もっと独自の個性を形にしていってほしい。何をやるにも堂々と人間らしく生きている素晴らしいダンサーを育ててみたい。また、バレエを具体的に知らない人でも、気軽にバレエを見学できる環境を作りたい。そういった環境を作るためには、多くの人の理解が必要。私は、一人のダンサー・表現者として、バレエ・芸術の素晴らしさをより多くの人に伝えていきたい」
 
 「バレエを通して、世界中に在日の存在を伝えていきたい。在日としての誇りを持つという事を一生忘れない」と、在日としての思いを語る。

 夏には同バレエ団の日本公演が予定されている。崔さんは7月13日、東京・上野の東京文化会館で行われる『眠れる森の美女』に出演。「青い鳥のパ・ド・ドゥ」を踊る。

 「私が生まれ育った場所で踊ることは とても特別だ。いろんな想いがあるが、今まで得たものを表現できたらと思う」


◆韓国代表として国際大会に出場 金彩華さん(フィギュア)

 高橋大輔、織田信成選手が所属するフィギュアの名門・関西大学に昨年入学、韓国五輪代表を目指して厳しいトレーニングに励んでいる。

 「昨年のNHK杯ではトップ選手とともに試合をすることが出来て、すごく良い経験をし、刺激になった。試合ごとにより強く、より美しく、より上手く滑れるようになりたい。毎試合出てくる課題を克服し、キム.ヨナ選手に少しでも近づけるよう頑張りたい」

 スケートを始めたのは小学校2年生の時。

 「上手にスケートが滑れたらかっこいいだろうなぁと想像し、両親にスケートを習いたいと頼んだ」

 「スケートの魅力は、陸を歩く、走るなどとは全く違う氷の上を滑るという日常生活では体験できない感覚だ。フィギュアスケートは感覚の競技なので、緊張や少しの油断で技が決まらなかったり、ミスに繋がったり、あるいは転倒してしまうことがある。怖いが、そこがスケートの面白いところかもしれない。それに、スポーツなのに、強さだけでなく、美しさ、表現力が必要であり、それらのバランスが要求されるところも魅力だ」

 04年2月に韓国の国体にあたる冬季全国大会に初出場、在日韓国人として初めて金メダルを獲得。05年には韓国代表として4大陸選手権に出場。また06年フィギュア世界ジュニア選手権でも韓国代表として7位入賞した。

 「小学校での民族クラブ活動が本名で呼ばれるきっかけになり、韓国人であることを意識した。韓国の大会に出場し、また韓国代表として国際大会に出場することによって、私は韓国人なのだと実感した。しかし、韓国語が話せないので韓国に行くとそれが一番困るし、韓国語を学ばなければいけないと強く感じる」

 「スケートは私にとって韓国に触れるとても良いきっかけとなってくれていると感じる。そのチャンスを活かして、韓国語が話せるようになりたい。そしてスケート人生が終わっても韓国と繋がっていたい」