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2008/11/07

<在日社会>プロ野球ドラフト・韓国人2選手を指名

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                   申成鉉選手

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                   金無英選手

 日本のプロ野球ドラフト会議で2人の韓国人選手が指名を受けた。広島東洋カープに4位指名された申成鉉選手(シン・ソンヒョン、18、京都国際高校)と、ソフトバンクに6位指名された金無英選手(キム・ムヨン、22、四国・九州アイランドリーグの福岡レッドワーブラーズ)だ。2人ともプロ入りを表明している。韓日のスポーツ交流が盛んになる中、韓国出身の留学生が直接入団する日がやってきた。

 申選手は2006年、ソウルの中学卒業後、京都国際高校に野球留学した。「日本の甲子園大会をテレビで見てあこがれた」のが留学のきっかけ。身長183㌢、体重83㌔の恵まれた体を生かし、遊撃手として1年生の秋にはレギュラーに定着する。高校通算30本塁打を記録し、今年夏の大会では京都大会ベスト8に進出した。

 念願の甲子園出場はならなかったものの、プロ野球関係者の注目を集め、特に広島のスカウトが関心を示した。9月に広島の入団テストを受けて、ただ一人合格した。そして今ドラフト会議での4位指名となった。

 広島のスカウト関係者は、長打力とスピードに加え、日本に一人でやってきたハングリー精神を高く評価したという。

 京都国際高校にとっても、野球部創部10年目にして初のプロ野球選手誕生となった。同校は毎年、韓国からの野球留学生を受け入れており、「後輩たちの大きな励みになる」としている。

 申選手は「(巨人の)李承ヨプ選手が目標」とのことだ。

 一方の金無英選手は、韓国・釜山出身。申選手と同じく、甲子園の試合をテレビで見て「自分もいつか出てみたい」と考え、山口県内の高校に野球留学した。甲子園出場はならなかったものの、プロ野球選手を目指して第一経済大学(現・福岡経済大学)に進学し、抑え投手として活躍した。

 その後、四国・九州アイランドリーグの福岡レッドワーブラースに入団して活躍。そして今回、プロ指名を勝ち取った。最速148㌔の直球とフォークボールが武器で、「プロでも直球で打者を打ち取りたい」と抱負を語っている。180㌢、80㌔。右投げ右打ち。

■解 説■

 日本プロ野球界で活躍した在日コリアン選手は、3000本安打の張本勲、400勝の金田正一など多数いる。在日に対する差別が強かった時代、スポーツ選手は数少ない実力で勝負できる場だったのだ。ただ大部分が日本名を名乗らざるを得ない状況にあった。

 82年に韓国プロ野球が発足すると、日本のプロ野球に在籍後、自由契約になっていた在日選手らが海を渡り、祖国のプロ野球で活躍した。当時、韓国と日本のプロ野球には大きな力の差があり、在日選手は文化や風習の違いに苦しみながらも、即戦力として活躍した。

 韓国プロ野球が次第にレベルアップし、91年に行われた韓日プロ野球スーパーゲームで韓国のスーパースター宣銅烈投手が最速155㌔の速球を投げて注目を集める。

 宣投手は96年に中日ドラゴンズに入団。その年は不調に終わったものの、翌97年には38セーブの好成績をあげた。以後、韓国プロ野球から日本プロ野球への入団者が増え、現在では李承ヨプ選手(巨人)、李炳圭選手(中日)が活躍している。

 韓国内でも日本の野球への関心が高まっており、それが今回の野球留学、日本のプロ野球入団に結びついた。

 スポーツライターの大島裕史さんは、「日本の高校野球、プロ野球を韓国でテレビ観戦する人も増えた。スポーツにおける韓日の壁は、ますます低くなった。韓国から日本への野球留学生は今後も増えていくことだろう」と話している。