1909年10月26日、安重根(アン・ジュングン)が中国のハルビン駅で伊藤博文を射殺してから100年が経った。韓国とハルビンでは記念行事が開催される。また東洋平和論を唱えた安重根に対する再評価の動きが、韓日中で高まっている。
安重根義士の写真原本27点と遺墨3点の計30点が、日本から韓国に送られ、ソウル・瑞草洞(ソチョドン)の芸術の殿堂書芸博物館で26日から公開される。
これは京都の浄心寺の所蔵品で、現在は龍谷大学が保管している。事件当時、浄心寺の住職だった津田海純が死刑囚の教化僧として旅順監獄に行って収集したものである。
ハルビン駅で伊藤博文を暗殺した直後に撮影された安重根の肖像の原本、伊藤博文一行がハルビンでの義挙6日前に日本軍の旅順戦跡地を視察している写真などで、今回初めて公開される。展示は来年1月24日まで行われる。原本なので鮮明な写真が見られる。
また6月から行われている「安重根義士手形プロジェクト」には、海外同胞や日本人も参加して、これまで数万人規模になったという。このプロジェクトは、横幅30㍍、縦幅50㍍の大型幕に安重根の手形を描き、韓国内と海外をまわって、参加者の手形を押していくもので、安重根義士の勇気を知り東洋平和論を再考するために、文化体育観光部の後援を受けて始まった。日本では安重根義士が投獄された旅順刑務所の看守で、安と親交を深めた千葉十七の遺族、安と千葉の追悼法要を行っている宮城県栗原市の斉藤泰彦住職らが参加している。
1909年10月26日の中国ハルビン駅における安重根義士の義挙現場が、忠清南道の天安市独立記念館で再現される。
独立記念館では10月を「安重根義士義挙100周年記念の月」とし、数多くのイベントを用意している。23日には独立記念館の野外民族広場で特別企画展が開幕し、100年前に伊藤博文を射殺したハルビン駅の現場を模型で展示し、当時の状況を再現する。また24日午前10時から、独立記念館内のもみじの森の道4㌔区間で、「義挙100周年記念歩行大会」が行われる。さらに25日には「義挙100周年記念特集音楽会」が野外民族広場で行われる予定だ。
中国ハルビン市では、安重根義士の死去100周年に際し、19日から25日までを「韓国週間」と定め、このほど宣布式を行った。当時の時代背景、安重根義士の人物像、ハルビンと韓国との関係についての記念展示や講演会などが開かれる。
龍谷大学では今年春から、安重根義士の遺墨・写真などを一般公開した。また「なぜ安重根、伊藤博文を撃ったのか」をテーマにした国際平和シンポジウムを同大学で開催している。これは不幸な歴史であったこれまでの100年を振り返り、これからの100年を成熟した韓日関係にしようとするもので、「韓国においては李舜臣と並ぶ二大英雄といわれる安重根の思想、当時の国際情勢を両国の若者が知ることが、相互理解につながるのではないか」「韓国併合そのものが不法であり、安に対する死刑判決はおかしい。義勇軍の軍人として捕虜扱いすべきだったのでは」などの意見が出された。関係者によるシンポ開催や研究発表は来年まで続く。