あす7日からJリーグが開幕する。今年は在日10人、韓国から26人が登録している。アジア枠の採用で韓国人選手が大幅に増えた。最も期待されるのが、川崎フロンターレの在日3世、鄭大世選手だ。在日4世の李忠成選手(柏レイソル)、在日3世の朴康造選手(ヴィッセル神戸)らも注目される。
川崎フロンターレのFW鄭大世選手(チョン・デセ、25)は、昨シーズン14得点を挙げてチーム得点王となった。強烈なシュートと相手DFを跳ね飛ばすパワーは今年も健在で、チーム優勝のキーマンだ。北朝鮮代表チームの一員としてW杯進出も目指す。
ヴィッセル神戸のMF朴康造選手(パク・カンジョ、29)は、韓国代表入りも経験したベテラン。昨シーズンは4月に右ヒザを負傷し、リーグ戦6試合の出場に終わった。復活をかける。
柏レイソルのFW李忠成選手(リ・タダナリ、23)は、日本国籍を取得して北京五輪日本代表入りしたことで話題になった。五輪出場後、ケガで戦列を離れる経験もした。今シーズンはストライカーとしての飛躍が期待される。
京都サンガのFW金成勇選手(キム・ソンヨン、22)は、小平の朝鮮大学を卒業して新入団。チーム期待の新戦力だ。
サンフレッチェ広島のMF李漢宰選手(リ・ハンジェ、26)は、同チームで8年目となるベテラン。昨年右サイドで37試合に出場。今シーズンも右サイドでのレギュラー出場を目指す。
ベガルタ仙台のMF梁英基選手(リャン・ヨンギ、27)は、昨シーズン13得点9アシストで存在感を示した。今年もチームのかなめとなる。
湘南ベルマーレのGK金永基選手(キム・ヨンギ、24)は過去2年間フル出場でゴールを守ってきた。今季もチームを支える。
カターレ富山のDF金明輝選手(キム・ミョンヒ、27)は入団2年目。ジェフユナイテッド市原入団後、Kリーグや佐川急便大阪SCなどに所属した。経験豊富なベテランだ。
MFの姜鉉守選手(カン・ヒョンス、24)も入団2年目。右サイドでレギュラーを狙う。
ファジーノ岡山のGK李彰剛選手(リ・チャンガン、24)は3年目。チームの守護神だ。
◆「民族心で勝利つかむ」――鄭大世選手に聞く
川崎フロンターレのエースストライカー、鄭大世選手に話を聞いた。
――優勝を願うファンの声が大きいが。
優勝できなかったら2位も最下位も同じともいえるぐらい悔しい思いが続いている。今年こそ優勝したいとチーム一丸となっているし、個人的にもタイトルを取って優勝に貢献したい。入団して4年目になるが、年齢的にも中堅クラスだし、自分がチームを引っ張れるよう、リーダーシップを意識しながら試合に臨みたい。相手のマークを跳ね飛ばしてゴールを決めていきたい。
――北朝鮮代表としてW杯進出も目指しているが、手応えは。
民族教育を16年間受けて育ったので、サッカーをやるなら朝鮮の代表入りしたいと願っていた。国際ランキングでは下位だし、技術的にも決して高いとはいえないが、国家の栄誉を背負っている精神力、そして身体能力はすごい。合流当初はミスにいらだったり、怒ったりしたこともあったが、代表選手たちと同じ目線で付き合うようにしてから変わった。いまはチームワークもいいので、韓国と一緒にW杯に出られるように最善を尽くしたい。
――相手のDFに決して当たり負けしない強さが際立っているが。
筋力トレーニングを積み重ねて体重が増えたこと、相手の動きを読む力が向上したこともあるが、やはり精神力だと思う。子どものときから親には「日本人に負けないよう倍の努力をしろ」と言われて育った。
民族学校のサッカー部で世間の注目を浴びないときも、川崎フロンターレ入団後、出場の機会に恵まれなかったときも、「在日としての誇りを胸に、決して逃げてはいけない」と誓った。その民族心、反骨心があればこそ、ここまでやってこれたと思う。もちろんサッカーは自分のため、家族のためにやっているが、在日としての自負心を忘れたことはない。
――在日の後輩たちに一言。
自分はサッカーでトップを目指しているが、それぞれの生きる場でナンバーワンを目指してほしい。在日としてのアイデンティティーを大切に、強く生きることが大切だ。自分が頑張る姿を見て希望を持つ少年たちがいれば、とてもうれしい。