ここから本文です

2009/06/12

<在日社会>ワンコリアフェスティバル・統一への思い伝えたい

  • ワンコリアフェスティバル・統一への思い伝えたい

    ワンコリアフェスティバルDAY(7日、東京)

 南北の統一を願うイベント、「ワンコリアフェスティバルDAY」が7日、都内で行われた。日韓演劇フェスティバルの一環として開かれたもので、在日の歌手、舞踊家らが歌と踊りを繰り広げた。また在日の若者たちがボランティアとして運営に協力、ワンコリアに向けた思いを一つにした。

 ワンコリアフェスティバルは、85年に関西で始まった。文化の力で韓半島の統一に向けた思いを伝えようとするイベントで、これまで趣旨に賛同した多くの在日と日本の文化人、芸術家などが協力している。

 2004年からは東京でも開催を始め、06年、08年と隔年で開催している。ワンコリアフェスティバル東京の場合は、関東の在日学生有志が実行委員会をつくり、運営しているのが特徴だ。組織に属さない学生達の、統一に向けた自由な思いを生かしている。

 今回のワンコリアフェスティバルデイは、今年秋に予定されている25回記念のイベントを前にしたプレイベントとして開かれ、在日学生、卒業生らが参加した。

 宋基央さん(ソン・ギワン、26、会社員)は04年、東大の学生として参加、大学院進学後の昨年は、実行委員会副委員長として活動した。現在は会社員の立場で手伝っている。

 「在日3世になる。在日として生きる意味を高校生の時から考えていた。在日社会は立場や世代によって壁があるというか、意見の違いが大きい。ワンコリアはその点フラットと言うか、自由に活動できることに魅力を感じたし、心に響くものがあった。在日にとってワンコリアとは何か、考えるきっかけになれば」と話す。

 東大大学院で航空宇宙学を学ぶ崔大宇さん(チェ・デウ、24)は、「08年から参加している。在日と日本の若者が一緒に作り上げていくことに興味を持った。在日にとってはルーツを考える契機にもなるし、日本人に在日の存在を知らせることにもつながる。そういう出会いが大切だと思う」と参加の動機を語る。

 高玉蓮さん(コ・オンニョン、27、会社員)は、「04年から参加しているが、北でも南でもないワンコリアがいい。ダブル(片親が在日、片親が日本人)の青年や日本国籍の人が増え、在日社会も多様化している。在日のアイデンティティーも様々だ。そういう青年達が自主的に集まり、アイデンティティーを考える場にしたい」と述べる。

 同フェスティバルに参加したのがきっかけで生まれたグループもある。

 韓半島の民謡「アリラン」と高知県発祥の「よさこい鳴子踊り」をミックスした「よさこいアリラン」を踊る〝はなこりあ〟は、韓国語で一つの意味の「はな」とコリアから名づけた。

 2004年のワンコリアフェスティバル東京に参加した在日と日本の若者を中心に結成し、今では会員(踊り手)約250人を数える。2005年から始まった「日韓交流おまつり」に毎年参加し、韓国の若者と交流を深める一方、ワンコリアフェスティバルにも毎年出演し、在日と日本の若者の交流・共生に一役買っている。

 大森智永子さん(35、会社員)は、「文化の力、踊りの力で、日韓友好と平和のメッセージを伝えていければと思っている」と語った。

 在日3世の趙剛済さん(チョ・ガンジェ、27、会社員)は、「コリアと日本、2つの文化をミックスしたものを表現したいと考えた。アジアは一つの思いを世界に広めたい」と語った。はなこりあのメンバーは、今秋東京で初めて開かれる日韓交流おまつりに出演予定で、「笑顔と踊りで平和の花を咲かせたい」と、準備を進めている。