在日世界韓人商工人連合会が13日、第4期定期総会を東京・水道橋の在日韓国YMCAアジア青少年センターで開き、今年度事業計画を決めるとともに、在日韓国人連合会との間で「協力関係締結書」を結んだ。在日団体がいわゆるニューカマー(新規来日韓国人)団体と公式に協力関係を結んだのはこれが初めて。在日世総は、世界の韓人団体と親善・交流をめざしており、今回の協力関係締結はその一環と位置づけている。
金一雄(キム・イルン)・在日世界韓人商工人連合会会長と朴裁世(パク・チェセ)・在日本韓国人連合会会長の間で交わされた協力関係締結書は、祖国韓国と居住国日本の発展、韓日親善友好などを目的に相互間の連携・協力関係を進めると謳っている。
在日世総は発足以来、「目は世界に、心は祖国に」をスローガンに世界の韓人商工人とのネットワーク強化をめざしており、今秋にはメキシコのユカタン半島に突き出た保養地カンクンで開かれる第16回世界韓人商工人大会に参加することを決めた。大会参加の後、キューバへの経済視察も予定している。
昨年は、5月のカンボジア経済視察に続き、9月に中国吉林省延吉市で開かれた第3回延吉国際投資貿易博覧会及び世界韓人商工人指導者大会に参加。延辺大学と交流するなど中国朝鮮族をはじめ世界の韓人商工人との親善交流を図った。金一雄会長は、昨年の事業報告を行う中で、今年9月創立60周年を迎える延辺大学との交流を引き続き強化していきたいと強調した。
上部団体の世界韓人商工人総連合会の韓昌祐会長(ハン・チャンウ、マルハン会長)は「風光明媚なカンクンで中南米をはじめとする世界各地の韓人商工人と交流を深め、新たなビジネスチャンスをつかもう」と語り、金徳龍(キム・ドンヨン)・同理事長(大統領国民統合特別補佐官)は、「世界750万の海外韓人ネットワークを強化し、偉大な韓民族の時代をつくる先頭に立とう」と訴えた。
今年度の支援活動としては、①民団活動助成として脱北者支援②釜山の慶憲シルバーアカデミー(老人大学)支援③在日大韓体育会の活動助成④日韓親善協会中央会への支援などを決め、金会長から支援金が伝達された。
総会後の記念公演では、中国朝鮮族のメゾソプラノ、朴美花(パク・ミファ)さんが、金育紅(キム・ユクホン)さんのピアノ伴奏でイタリア・フランス歌曲やオペラのアリア、中国延辺歌曲と韓国歌曲などを熱唱、200余人の聴衆を魅了した。
◆中国朝鮮族のメゾソプラノ・朴美花(パク・ミファ)さん熱唱◆
力強く伸びのある声が会場に響き渡った。中国朝鮮族が生んだ類まれなメゾソプラノの朴美花さんの歌声に接したこの日の聴衆は幸せだった。
「日本は初めて。同じ同胞の前で歌えてうれしくて、思わず力が入ってしまいました」
朴美花さんは中国吉林省延辺生まれ。延辺芸術学校を卒業後、上海音楽学校やイタリアのテバルディ・モナコアカデミーなどで学ぶ。全国朝鮮族音楽コンクール(金賞)、中国最高音楽人コンクール(金鍾賞)、イタリアペサロ国際声楽コンクール3位などの実績をもつ。現在、延辺大学芸術学院声楽科教授として後進の指導にも当たっている。好きな作曲家はイタリアオペラの名匠、ロッシーニ。
「延吉でもオペラ歌手が出てきていますが、ロッシーニを得意にするのは私くらいだと思います。あの口を滑らすようなアジリタの歌い方がなんともいえない魅力です」
今回の公演でもそのロッシーニのオペラ「セミラーミデ」よりアリア「麗しい光が」が選曲されていた。メゾソプラノではあるが、ソプラノ並みの高音のコロラトゥーラの技法を要求する曲がまさに「麗しい光が」だ。
息子と知らずアルサーチェに恋心を抱く母セミラーミデが歌うコロラトゥーラのアリアは、アジリタ(早口で細かい音階を謳う技術)の至難の一曲だ。見事歌いきり、会場からは「チョッタ(最高!)」の声が沸いた。
歌声を聞いて、クラシックファンの韓昌祐会長は「東洋のマリア・カラスだ」と絶賛した。
日本デビューに話を向けると、「いまは中国を中心に活動しています。今後日本でも歌える機会があればうれしい」と語った。