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2009/08/07

<在日社会>社会派弁護士・布施辰治の生涯を映画化

  • 社会派弁護士・布施辰治の生涯を映画化①

    ふせ・たつじ 宮城県石巻市出身。明治法律学校(現在の明治大学)卒。戦争が拡大し思想言論の自由が弾圧される中、植民地統治下の朝鮮に渡り、独立運動化の救済・弁護活動に尽力した。また関東大震災時には朝鮮人虐殺に抗議した。投獄や職権はく奪に屈せず人権擁護の姿勢を貫いた。2004年、遺族に韓国建国勲章が贈られた。

  • 社会派弁護士・布施辰治の生涯を映画化②

    製作委の記者会見

 日本による植民地統治下の時代、韓国民衆のための弁護活動に従事し、韓国政府から韓国建国勲章を日本人で初めて受章した布施辰治弁護士(1880―1953年)の生涯が、ドキュメンタリー映画化されることになった。生誕130年に当たる2010年春に全国上映される予定だ。

 映画『弁護士 布施辰治』(仮題)の製作委員会の発足式と製作発表がこのほど、東京都内で行われた。製作委員会代表には元日本弁護士連合会会長の阿部三郎氏が就いた。

 他に布施辰治の孫に当たる大石進さん(日本評論社顧問)、山泉進さん(明治大学副学長)、森正(名古屋市立大学名誉教授)、伊藤真さん(伊藤塾塾長)など各界から製作委員会に集まった。在日韓国人関係者も、梁東準さん(ヤン・ドンジュン、ヌッポンフォーラム代表)、河正雄さん(ハ・ジョンウン、光州市立美術館終身名誉館長)、李宇海さん(イ・ウヘ、在日コリアン弁護士協会前代表)などが参加している。

 映画は、「日本のシンドラー」と評された布施辰治の、社会正義、人権擁護、人類愛を追い求め、「生きべくんば民衆とともに、死すべくんば民衆のために」(布施辰治の言葉)の精神を実践した不屈の人生を描く。

 監督・脚本は、「東京大空襲・子どもたちの証言」、長編記録映画「赤貧洗うがごとき 田中正造と野に叫ぶ人々」など社会派作品を撮り続けている池田博穂さん。上映時間は約90分で、韓国語版も製作する。総製作費は約5200万円を予定している。

 撮影は既に始まっており、出身地の石巻ロケなどは9月から開始し、12月中に撮り終える。完成試写会は来年3月初旬から5月にかけて東京、大阪、石巻、韓国などで開く。その後上映運動を展開する計画で、20万人の観客動員を目指す。

 池田監督は、「社会という大地に正義という鋤(すき)を差し込み、庶民と共に耕していく。そんな布施の姿を映像化したい」と話す。

 製作費は出資金(1口5万円)と協賛金(1口1万円)で集める。連絡先は映画製作委員会事務所℡03(5840)9361。