「POP LIFE」をコンセプトに、やさしく、つよく、かわいく、かっこいい女性服を提供する「HAN AHN SOON」ブランド。鮮やかで美しい色づかいが特徴のファッションデザイナー、それが韓安順さんだ。2007年のミスユニバースで優勝した森理世さんをはじめ多くの女優、歌手、タレントが、韓さんのブランドを購入しているという。
ハローキティとのコラボレーション第2弾として、「クラシック・リゾート ハローキティ」と名付けた新作、また「BIBBIDIBOBBIDIBOO!?」と題した春夏コレクションを同時発表した。どちらも街に出たプリンセスをイメージした作品だ。
「カジュアルさとリゾートさを感じさせる仕上がりを大切にした。大人の女性が遊び感覚で着れる服なので、ぜひ試してほしい」
そして、先日09-10秋冬東京コレクションと、トヨタとコラボしたショーも発表した。
新宿伊勢丹に店を持ち、4月24日に直営店が大阪のエストにオープンする。
「顧客は20代から30代の女性がメインだが、最近は幅広い年代層の人が来てくれるようになった。カジュアルにもドレッシーにも合わせられる、日常的なエレガントを提案している。東京・青山に本店があるが、そこでデザインをしていて、客の注文にすぐに応えられるようにしている」
在日韓国人の多住地域、大阪市生野区の出身。小さいときから雑貨や服を作るのが好きだった。民族学校を卒業後、「生きるため手に技術を付けなくては」と考え、ファッション関係の専門学校に進んだ。
98年卒業直後にブランドを立ち上げる。アパレルショップを連日訪問して服を置かせてもらったり、テレビを見ていて気に入った歌手がいたら、「自分の服を着てほしい」と服を持って東京に出かけたりと、「思い立ったらすぐ行動」のポジティブな性格で道を切り開いてきた。
99年に大阪コレクションの「新人ジョイント」に出場し、スパンコールやチュールレースを使用した鮮やかな衣装で人気を集めた。その後、大手アパレルメーカーと契約を結ぶ。2002年に「春夏物・東京コレクション」に初参加。昭和をイメージしたノスタルジーあふれる作品が評判を呼び、以後、同コレクションの常連となっている。
韓国と日本、2つの国の文化が融合した独特なデザイン、色彩感覚を韓さんの作品に感じるという声がある。
「自分で特に意識したことはない。ただ韓国はルーツの国だし、家庭や民族学校で韓国文化に触れて成長してきたから、自然に影響は出ているかもしれない」。
2006年に日本人男性と結婚、子どもが生まれたこともあり、最近は子ども服のデザインも行うようになった。またアパレルメーカーとの契約が終わった後、新会社に移って体制を一新するなど新たなチャレンジの日々だ。念願のニューヨークにも店を出し、昨年11月には釜山コレクションに招待された。
「韓国でファッションショーを行ったのは初めてだったが、好評だったので安心した。韓国もファッション業界は急成長しているので、これからが楽しみ」
「韓安順というコリアンに生まれたことで、逆に注目を受けたのはラッキーだったといえる。世界で通用する服をつくり、将来はパリコレに出場したい。在日を意識しすぎることなく自由に生きられる社会に早くなってほしい。子どもには両方の文化を伝えたい」